オープンアクセスと従来型の出版、どちらを選ぶか

多くの研究者は、研究発表の場といえば、長年にわたって学術界において一般的であった購読制のジャーナルを思い浮かべます。しかし、著者にとってのオープンアクセス(OA)出版の大きなメリットが知られるようになるにつれ、OAが急速に主流になりつつあります。

ふたつの出版形態には多くの共通点がありますが、その利点は明らかに異なります。どちらが自分に合っているかを判断するために、両方の出版スタイルについて見ていきましょう。

従来の学術出版とは

伝統的なジャーナルは、大学やその他の組織が出版物の購読料を支払い、それにより所属する人がアクセスして情報を閲覧できるものです。通常、大学などの図書館で雑誌の印刷版を探すか、大学や提携機関などを通じて電子版にアクセスします。従来の学術ジャーナルは長年にわたって学術界において唯一無二の存在であったため、現在でもオープンアクセス・ジャーナルよりも権威があると見なされることがあります。

オープンアクセス出版とは

購読制の出版モデルとは異なり、オープンアクセス・ジャーナルには、誰でも無料でアクセスできます。論文著者がOA出版に抱く最大の懸念は、伝統的なジャーナルでは読者の購読料で賄われる料金が、著者側の負担となることです。

両モデルの共通点は?

出版費用の負担という点以外では、OAジャーナルと従来の出版ジャーナルは、以下のような多くの共通点があります。

  • 査読プロセス

OA誌も従来のジャーナルも、同じ査読プロセスを採用しています。OA型・従来型に関わらず、定評のあるジャーナルは査読プロセスを明確に定義しており、査読者の名前や資格などの詳細な情報も開示しています。

  • ジャーナル・インパクト・ファクター(JIF)

従来の学術誌と同様に、OA出版物もインパクトファクター(IF)で評価されています。IFでジャーナルを相対的な重要性に応じてランク付けすることで、研究者はその出版物が自分の研究にどれだけ役に立つかを判断します。

  • 倫理基準

OA誌も購読制学術誌も、利益相反、守秘義務、剽窃チェックなどの倫理に関わる明確な方針など、厳しい倫理基準に従うことが求められます。さらに、どちらのタイプのジャーナルも、出版倫理委員会(COPE)に加入できます。

  • 品質管理

従来のジャーナルの方がOA誌よりも品質が優れていると誤解されることがありますが、そうではありません。どちらの出版形態であっても、高い品質基準を満たすことが期待されています。品質にはもちろん、外国語での出版の際の翻訳の正確さも含まれます。

従来の出版方法では得られないOAの利点

  • 媒体に関わらず、定評のあるジャーナルから論文を出版すれば、その分野での著者の信頼性は高まりますが、購読誌に比べ、OAジャーナルでの出版は以下のような様々なメリットが存在します。
  • アクセスのしやすさ

オープンアクセスの最大の特徴は、誰もが研究にアクセスし、その恩恵を受けられるということです。従来の出版方法では、所属、経済状況、地理地など様々な理由によって情報を得られる人が制限されていましたが、OAジャーナルではそれらの障壁を取り除くことが可能です。

  • より大きな可視性

一般的に、学術論文がオープンアクセス形式で掲載されると、従来の出版形式よりも頻繁に閲覧されるようになります。閲覧数が増加すればおのずとダウンロード数と引用数も増加し、著者としての評価の向上につながります。

  • 出版までの期間の短縮

従来の方法での出版の場合、ジャーナルが原稿を受理した後、出版準備が整うまでに数回の校正と編集が行われます。それぞれの論文についてのそうしたプロセスが完了しても、出版物全体が公開できるようになるまですべての論文記事は保留されます。それに対して、OAジャーナルでは、それぞれの論文は準備でき次第オンラインで公開されます。このように、OA誌では従来の出版物よりもはるかに早く一般の人々に研究を公開できます。

従来の出版方法とOA出版のメリットを比較する時、研究や論文執筆に費やしたエネルギーと時間についてもあわせて考えてみてください。その努力の成果にアクセスできる対象を有料ジャーナルを読める人たちだけに限定すべきでないと考えるなら、ぜひ、オープンアクセス出版を検討しましょう。

まとめ

今までは購読ベースの出版が一般的な論文発表の場でしたが、オープンアクセス(OA)ジャーナルは、学術研究者に大きな変化をもたらしています。両者の出版モデルの共通点と相違点を見て、最適な投稿先がどちらかの判断材料にご活用ください。

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