オープンアクセス・ジャーナルの種類と選び方

論文を書き終えたら、出版するジャーナルを選び、研究を世界の人と共有する時です。投稿先ジャーナルの選択肢を絞る際、次の点が重要です。完成した研究論文に、誰もがアクセスできるようにしたいか否か。もし無料公開するなら、オープンアクセス・ジャーナルを選びます。

オープンアクセス(OA)出版を選んだ論文は、ほとんどの場合、無料で一般公開されます。これは、従来のクローズドアクセス方式(購読型)のジャーナル出版とはまったく対照的です。

ここでは、それぞれの研究発信に適したOAジャーナルの見つけ方をご紹介します。

OAジャーナル早わかり

オープンアクセス方式は、当初は斬新な方式でしたが、今では主流の出版形態となり、学術研究界では当たり前とされています。かつてはクローズドアクセス出版が主流で、読みたい記事は大学図書館などで読む必要がありました。OAは、基本的にアクセスできる人を限定しないので、より多くの読者に素早く情報を届けることができます。

また、OAジャーナルはオンラインでの公開のため、雑誌の同じ号に掲載されるすべての論文の準備が整うまで出版できない紙媒体のジャーナルよりもはるかに迅速な出版が可能です。つまり、クローズドアクセス型の出版物よりも早く研究成果を読者に届けられるです。

オープンアクセス・ジャーナルの種類

オープンアクセス・ジャーナルが普及するにつれ、以下のようないくつかのタイプのOA出版が発展してきました。

メガジャーナル:最小限の論文掲載費(article processing fee)で全文無料公開が可能。査読付きのジャーナルで、扱う分野も広範囲にわたり、短期間で出版できる。

– ハイブリッド・ジャーナル:有料の購読サービスを提供し続ける一方で、著者が論文をオープンアクセスにするかを選択できる。OAを選択した場合、論文の掲載料を支払うケースが多い。

– 遅延型オープンアクセス:公開制限期間中は論文へのアクセスを有料とし、その後サイト上で無料公開する。

– その他のOA形態:掲載料は必要だが、著者が並行して論文を機関レポジトリなどに公開することを許可するジャーナルなど。具体的な条件はジャーナルの著作権要件によって異なる。

オープンアクセス・ジャーナルの選び方

論文に最適なジャーナルを選ぶために、以下の論文投稿支援プラットフォームを利用して、諸条件を検討することができます。

エナゴのオープンアクセス・ジャーナルファインダー(OAJF)

研究者が自分の論文に最適なOAジャーナルを探す手助けをする無料ツール。ジャーナルの査読プロセスなど、特定の条件に基づいた検索も可能。

オープンアクセス学術誌要覧(DOAJ)

査読付きOAジャーナルのオンラインデータベース。コンテンツの索引だけでなく、OA出版物の内容を検索することができる。

– Ulrich’s Periodicals Directory

OAジャーナルを含む平均30万誌以上の定期刊行物情報を収録したデータベース。キーワードによる絞り込みが可能で、複雑なテキストなどのコンテンツへのリンクも提供されている。

– Cofactor Journal Selector Tool

OAジャーナル限定のツールではないものの、オープンアクセスの出版物に焦点を絞って検索することが可能。その他、掲載費、テーマ、査読タイプなどのフィルタリングもできる。

信頼できるOAジャーナルを選ぶために

複数のデータベースでOAジャーナルを検索した後、いくつかの重要なポイントを考慮すべきです。非倫理的な雑誌や評判の悪い雑誌を誤って選ばないように気を付けたいものです。評価の高いジャーナルを確実に選ぶには、次のステップを踏んでください。

– 投稿先候補となった雑誌の倫理規定を調べる

出版元のウェブサイトを閲覧すれば、その出版物の倫理方針に関する情報をすぐに見つけることができるはずです。機密保持や利益相反への対応、剽窃チェッカーの有無など、そのジャーナルに関連する情報が得られます。

– その雑誌の品質レベルを見極める

簡単に言えば、誤字脱字などがないことです。ミスがあるような雑誌は水準が低いと判断してよいでしょう。

– 査読プロセスを確認する

査読基準や査読者の名前など、査読プロセスも明確であるべきです。

– 出版社や編集委員会の情報を確認する

専門機関が発行している雑誌であれば、評判が良い可能性が高いです。また、その出版社の編集委員会には、各分野で活躍する著名な研究者が名を連ねているはずです。

– ジャーナル・インパクト・ファクター(JIF)に注目する

JIFは、学術雑誌を相対的な重要度によってランク付けまたは分類する指標です。インパクトファクターが低ければ、指数の高い雑誌ほど頻繁に引用されないことになります。

論文の投稿先を検討する際には、オープンアクセスが、研究内容を誰もが活用できる唯一の方法であることを忘れないでください。発信する論文が、数え切れないほどの人々を救う医療研究などに関わるものであれば、その恩恵を誰もが受けられるようにしたいものです。そのようなためにも、オープンアクセスの出版形態を選んで論文を投稿し、あなたの努力を世界の役に立てましょう。

まとめ

執筆した学術論文をオープンアクセス・ジャーナルに投稿して出版することで、数え切れないほど多くの読者に届き、世界中の人々が研究の恩恵を受けることができるようになります。研究内容に適したOA方式の投稿先の見つけ方を紹介します。

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