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Created 2017 06 15

いつ、どうやって始める?企業のローカライズ戦略

ローカライズ多くの企業が自社の発展とビジネスの成功を目指して、しのぎを削ってきました。世界中でグローバル化が急速に進んだ結果、ビジネスを成功させるためには海外に出て行くことが必要となり、製造業からサービス業まであらゆる企業が「どうやって、言葉や文化の違う国でビジネスを展開するか?」という問題に直面することとなりました。その際、必要なのがローカライズ(localize)/ローカリゼーション(localization)。サービスの国際化・地域化・多言語化です。では、このローカライズで成功した企業は、どの段階で決断し、何が成功につながったのでしょうか。

■ ローカライズの需要は増えるか

日本では人口減少が深刻化しており、今後もこの流れはさらに加速することが予想されます。それに伴い消費者数の減少が見込まれる中、どのように自社の事業を展開させ、売上を維持または伸ばすことが可能なのか……。活路を見出すべくビジネスターゲットを海外へ求めるのは、ごく自然なことだと言えるでしょう。

経済活動のグローバル化が進む中、ローカライズの必要性は増しています。しかし、ローカライズに対する考え方には温度差があり、重視していない企業もあります。母国語の範囲である国内市場で顧客基盤を固めることこそ重要で国外は二の次と考える企業、国外市場を狙いつつも英語版ウェブサイトを用意しておけばよいと短絡的に考えている企業……理由はさまざまでしょう。社内で行うにしても外注するとしても、ローカライズには費用がかかります。企業にとって、資本をどう配分するかは致命的に重要ですが、困難な判断を伴います。資金の投入に慎重な計画を要する中、コストがかかる反面、実益が見えにくいローカライズを優先度の高いものと考えている企業は、まだ少ないのです。未知の国の市場に膨大な労力を注ぐより、母国での顧客基盤の構築に注力することが適策だと思うのは一理あります。

投資するからには成功したい。グローバル化を目指す企業がローカライズで効果を得るには、着手するタイミングと顧客を見据えた対応が鍵となります。

■ 最適なタイミング――先手必勝

73%の人は母国語で書かれている物を好んで購入し、インターネットユーザーの10人中9人は、 ウェブサイトを母国語で閲覧します。商品もしくはサービスを、ターゲットとする顧客/ユーザーの言語で表示することは、売り上げにも直結する論理的な成長戦略です。英語圏以外でビジネスを拡大しようと思えば、英語版ウェブサイトだけでは不十分です。ローカライズを行わないことは、国際市場での成功を逃しているとも言えるのです。

とはいえ、多言語化に初期投資するのをためらうのも理解できます。では、ローカライズに初期投資する最適なタイミングは、いつなのでしょうか。決断は困難ですが、ローカライズを行うのはビジネスの初期段階であればあるほどよいとされています。大切なのは始めること、正しく歩を進めることです。不必要に思えても、製品のスタイルガイドやマニュアル、用語集を事業展開に着手した時点から整えておけば後々、時間とお金の節約となり、後に続く展開がぐっと楽になります。

スタイルガイドや用語集は、国外支社や代理店、翻訳会社が多言語化の作業を行う際に威力を発揮します。共通の指針があることで遅延や行き詰まりを避けられるほか、翻訳者も整えられた用語集があれば、作業しやすくなります。グローバル展開とは、決して当初から全コンテンツを50言語以上で配信することではありません。ローカライズは、小さな一歩から始められるのです。

■ 先手のローカライズで成功したCanva社

ローカライズには早いうちに着手したほうがよいと言えども、多くの企業は、これから開拓する市場で堅実な収益を見込めるのか様子を伺い、ローカライズに二の足を踏んでいるのが実情です。ではここで、事業の立ち上げ時期にローカライズに取り組み成功した、オーストラリアのCanva社の例を紹介しましょう。

画像の加工やデザインを、初心者でもIllusutratorやPhotoshop並みの高機能で行えるツールを提供しているオーストラリアのCanva社は、2012年にシドニーで創設され、2013年からサービスの提供を開始しました。今では世界3か所にオフィスを構え、12か国で事業を展開しています。このCanva社が、スペイン語版のローカライズを決断した時のことです。Canvaが製品リリースの早い段階でスペイン語版のリリースを決断すると、35万人のユーザーが、すぐに英語版から乗り換えました。「読めなければ買わない」と決め込んでいたスペイン語ユーザーが、一気に動いたのです。Canvaの強みは、豊富な無料・有料のデザインテンプレートを提供し、初心者からプロにまで多種多様なデザイン作業の支援などを行うことです。この強みを最大限に活かすためには、読みやすい情報の提供とともに、幅広い顧客層からのフィードバック獲得が重要です。スペイン語版のリリースにより収益を上げただけでなく、「読めなければ買わなかった」顧客を手に入れ、さらなる事業の発展につなげたのです。

米国のリサーチ会社であるCommon Sense Advisoryによれば、第2言語を使うことにまったく問題のない消費者でも、母国語での情報提供を好むということがわかっています。Canvaのスペイン語版の大成功は、まさにこの状況で、英語を使うことに問題のない話者でも、母国語であるスペイン語版を好んだ結果でした。Canvaの共同創業者でCEOのパーキンス氏は、この仕様設定には2か月を要したと語りましたが、さらなる言語の追加は、より迅速に行えるとしています。 Canvaは多言語化の対象言語として、ラテンアメリカ・スペイン語、ブラジル・ポルトガル語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポーランド語を挙げました。2017年5月には日本語版もリリースされ、フォントストックやレイアウトなども豊富に用意されています。現在では1000万以上の人が、クラウド上で使える画像編集ツールである「Canva」を利用するほどに拡大しています。

■ ローカライズの真髄とは

Canvaの成功例からもわかるように、多くの消費者は母国語での買い物を好みます。ターゲット国の市場で顧客を獲得し、収益を上げるためには、もはやローカライズは必須と言っても過言ではないでしょう。顧客の求める言語、つまり母国語を使うことで、消費者が本来持つ購買意欲にアプローチし、「買いたく/使いたく」なってもらうのです。

母国語による情報提供の重要性は、商品販売に留まりません。マーケティングにも同じことが言えます。グローバルなブランドを志向するのであれば、まずはターゲット市場の顧客に受け入れてもらうために、その市場の文化的背景を理解し、顧客に受け入れられる最適な表現で情報を提供し、顧客との円滑なコミュニケーションを図る必要があります。

以上のことからわかる通り、ローカライズとは、ターゲット国の母国語にただ翻訳するだけではありません。翻訳の質が悪く、文化的背景を無視したような表現を使えば、提供した情報が、かえってマイナスになってしまします。ウェブサイトをせっかく作ったのに更新しないというのも同様です。ターゲット国の宗教や文化、商習慣などを学び、それに則って、常に改善を施していく。顧客が求める情報を顧客の言語でタイムリーに提供することが、ローカライズの真髄と呼べるのかもしれません。

企業と翻訳者が知っておくべき多言語サイト成功の秘訣-2

多言語サイト
前回、検索エンジンがアルゴリズムで動いていること、情報を検索結果で優位に表示させるためにはSEO対策が必要であることを書きました。ここからは、ユーザーが探したい情報にすぐにたどり着けるようにするためのSEO対策として、翻訳者と翻訳会社が留意しておくことについて提案します。

■ SEOで「拾ってもらう」ために-翻訳者がすべきこと

翻訳者としては、言語的な正確さを重んじて、可能な限り忠実な翻訳を提供することが務めですが、訳文に使った語句や単語が、ウェブサイト上でほとんど検索されていない言葉だったら、検索エンジンには拾ってもらえません。情報が検索結果に表示されないとなれば、ビジネスにとっては死活問題。翻訳者は、文体上(あるいは正確な翻訳として)は最善の選択ではないかもしれない語句を使用することにも対応しなければなりません。ローカライゼーション翻訳においては、より高いコンバージョン(CV)率や多くのリピーターを獲得することが重要なのです。

ウェブサイト翻訳に役立つGoogleのツールを、以下に紹介します(ご利用にはGoogleアカウントが必要です)。

Google Adwordsキーワードプランナー……盛り込みたいキーワードの検索ボリュームを国ごとや期間ごとに調べられるツール。新たなキーワード候補の検索も可能。使用するにはGoogle Adwordsアカウントへの登録が必要(無料)。
Google サーチコンソール……ユーザーがサイトへアクセスする過程を調べられるツール。実際に何と検索されているかや、検索結果画面への自社サイトの表示頻度などを見ることができる。翻訳内容の修正・改善に便利。
・Googleサジェスト機能……Googleの検索画面にキーワードを入力すると、検索しようとしているキーワードと関連する単語や、よく検索されるキーワードを見ることができる。翻訳時に盛り込むべきキーワードの選定に有効。

検索エンジンのキーワードについての知識と理解が、新たなターゲット市場向けのウェブサイト翻訳(ローカライゼーション)には欠かせません。

■ 翻訳ではなく「ローカライズ」する

翻訳されたウェブサイトのコンテンツやテキスト情報がクローラーによって収集されることは述べました。ただし海外市場に出た場合は、ターゲット国/地域によって、普及している検索エンジンが異なる場合があり、そうなると当然クローラーの評価基準も異なっているため、それぞれの国/地域の特性を踏まえたSEO対策が必要です。翻訳者は、この前提に基づきつつSEOに効果的なアウトプットを作成するため、単なる言葉の「翻訳」ではなく「ローカライズ」を意識しておくことが大切です。

文章を書いたり翻訳したりする際に留意しておかなければならないのは、読み手の存在です。ウェブサイト上の文章であれば、最初のターゲットとなるのは検索するユーザーであり、ユーザーをサイトまで引き込むには、SEOに適した言葉を選んでおく戦略が必要です。例えば、オランダでマグカップを販売するビジネスを想定します。英語のマグカップ(mug)に当たるオランダ語はmokですが、地元のグーグル検索ではmokの類義語であるbekerが多用されています。マグカップを販売するサイトに潜在的消費者を誘引するためには、より多くの取り込みに結びつく可能性の高いbekerをキーワードとしたほうが有利だと言えます。ここまでは、ツールによる分析で見つけ出せるでしょう。しかし、さらに読み手を考慮した言葉の選択が必要なこともあります。同じ言語の同じ単語でも、地域や習慣によって使われる表現が多岐にわたるような場合です。例えば、スペイン語の単語が、世界に広がるスペイン語圏の国や地域で同じニュアンスで受け取られるか、同じものを示すのに同じ表現を使うかはわかりません。また、擬音語や擬態語のように、話し手・聞き手によってまったく異なるイメージにつながってしまうものや、宗教や習慣に基づくタブーな言葉も存在します。機械では判断が難しいローカライゼーションこそ、ターゲット言語に精通した翻訳者の力が発揮できるところではないでしょうか。

■ 機械に「負けない」ために

インターネット環境が整備され、「ググる」という言葉が一般的に使われている昨今、ほとんどのユーザーは、検索サイトで調べれば「大体のことはわかる」という認識を持っています。期待値は初めから高く、その上、大多数の人は検索を母国語で行いますから、海外市場にビジネスを展開する企業にとって、自社サイトの多言語化、さらに最新情報への定期的な更新は不可欠です。またSEO対策を講じて、ターゲット市場におけるサイトへの継続的な流入を維持しなければなりません。検索エンジンにおけるSEO対策は今後、AI(人工知能)のさらなる発達によってますます洗練され、これまでできなかったこともできるようになることでしょう。機械翻訳の精度も上がり、人の手を介さない多言語化が増えることも予想されます。

とはいえ、それで十分かというと、決してそうとは言い切れません。ターゲット市場の「ググる」ことへの期待に応え、同時に企業にビジネスの成功をもたらすためには、これからも翻訳者の力が必要です。機械に「負け」ずに翻訳者ができること――。

  • ターゲット国/地域で使われている言語において適切な語句に翻訳する
  • 現地で多用されている語句にローカライズしなおす
  • 翻訳対象言語に方言のようなバリエーションがある場合には標準語にする
  • 顧客(企業)がSEO対策としてキーワード検索ツールなどを利用している場合には、情報をもらって活用する(または自分で調べられるスキルをつける)
  • ターゲット国/地域の読み手に受け入れられやすい言葉や表現を使用する
  • 検索するユーザー目線に立って語句を考える・選択する

こうした細やかな配慮こそ、読み手を安心させ、発信者への信頼へと結び付きます。翻訳者にできること、翻訳者にしかできないことは、多々あるのです。


こんな記事もどうぞ:
翻訳ツールにできること、人間にしかできないこと

企業と翻訳者が知っておくべき多言語サイト成功の秘訣-1

多言語サイト

知りたいことやわからないことをインターネットですぐに探せる時代、ウェブサイトの影響力は絶大です。ウェブサイトに掲載している情報の多言語化(ローカライゼーション)に加え、携帯端末用のサイト構築やSNSの利用も一般化し、SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)対策をはじめ、企業にとっては本業のビジネスに付随する作業が増える一方です。翻訳会社や翻訳者がローカライズやウェブコンテンツの翻訳依頼を受ける機会も増えていますが、一人でも多くの閲覧者(ユーザー)に見てもらえる工夫は、できているでしょうか。検索エンジンとSEO対策において重要視される要因を知っておくことは、多言語化翻訳に関わる際に役立つはずです。

■ 一人でも多くのユーザーをサイトに呼び込むには

サイトを一人でも多くの人に見てもらうために、魅力的なコンテンツを配信するのはもちろんですが、ネット上のユーザーから検索されやすくしなければなりません。そのための手段としてSEO対策があげられます。多くの企業はコンテンツを作成する際、GoogleやYahooなどの検索エンジンで自社の情報が上位に表示されるよう、対策を施しています。

ここで一度、検索エンジンの裏側を見てみます。

ユーザーが何かを検索するときに求めているのは、的確な回答あるいは情報です。検索エンジンは、ユーザーの要望に応じて、検索インデックスに登録されている膨大な数のウェブページの中から、有益で関連性の高い検索結果を瞬時に表示してくれますが、この時に表示される検索結果の順位は検索アルゴリズムによって制御されています。表示されるコンテンツは、クローラー(Crawler)と呼ばれるプログラムがウェブ上のあらゆるコンテンツ(文章だけでなく画像やPDFまで含む)から情報を収集し、データベース化したものの中から抽出されています。しかし、クローラーは公開してすぐのページをはじめ、すべてのコンテンツを即時に網羅しきれるわけではないので、クローラーに早く「見つけてもらう」工夫が必要となります。そこで、検索エンジンがどのような仕組みで動いているのかを理解した上で最適な策を講じること、つまり、検索エンジンでコンテンツを上位に表示させるための対策(SEO対策)が求められるのです。

■ 進化する検索アルゴリズム

ユーザーにとって便利かつ有益な検索結果を表示できるようにするため、検索アルゴリズムには日々改良が重ねられると共に、検索順位を決定するための要因として、たくさんの検索アルゴリズムを組み合わせて使用するなどの技術的な工夫が施されています。ここでは、言語と関係する部分に絞ってGoogleが2013年9月に導入した新しいアルゴリズム「ハミングバード」を見てみます。この最新の検索アルゴリズムは、類義語・同義語・あるいは文脈的に意味が合致するページも適切に評価し、検索結果に返すことが可能だとされています。1つ1つの言葉を見て検索結果に反映していた以前のアルゴリズムとは異なり、言葉そのものを含まなくても意味・文脈の関連が高いものを評価し、検索順位の判定に反映するようになりました。サイト運営者にとっては繊細なキーワード戦略が要求される反面、ユーザーにとっては、検索意図をより反映した検索結果が出るようになったのです。

例えば、「日本で人気の韓流スターは誰?」という検索ワードAと「この国で流行している韓国アイドルは誰?」というBを入力したとします。ハミングバードは、過去に類似した語句が検索された際の結果に至るまでの過程や、重ねられた過去の試行錯誤を、膨大な蓄積データから分析します。そしてAとBの検索ワードが類似する答えを求めていること、つまり具体的な韓国人俳優の名前を求めているという「意図」を有した「質問文」であることを読み解くのです。この2つの質問におけるキーワードが、Aでは「日本、韓流スター」、Bでは「この国、韓国アイドル」と一致しなくても、過去データを活用し、これらの語句の重複する部分と異なる部分を解析した上で、効率的に処理していきます。検索アルゴリズムは日々、進化しており、文脈的に合致するページまで適切に抽出し、検索結果として表示してくれるようになっています。

Googleの検索エンジンには、「パンダ」「ペンギン」「ハミングバード」と動物の名前がついていますが、「ハミングバード」はハチドリで、正確で早いことが名前の由来だそうです。ユーザーが求める情報を的確かつ瞬時に提供できるよう、アルゴリズムのアップデートが頻繁に行われているのと同時に、新しい技術の導入が進み、これからも検索アルゴリズムは進化し続けることでしょう。

この後は、SEO対策において翻訳者が知っておくべきことに続きます。

メンタープログラム – 先達の知恵を活用

メンター

メンタープログラムもしくはメンター制度という言葉を耳にされたことはありますか?一般的には、先輩と後輩がペアになってスキル向上や人材育成を図る手段として知られています。

知識や経験豊かな先輩社員(上司とは別)をメンター、後輩社員(新入社員)をメンティーとして、業務上の課題の相談・アドバイスや精神面のケアを行う制度として、近年、企業にも広く浸透しつつあります。

メンターにとっては後輩の指導育成を行うことで管理業務を学ぶチャンスとなり、メンティーにとっては不安や悩みを相談しながら業務に必要なスキルやマインドを学ぶことができるため、組織におけるキャリア育成には効果的と言われています。そしてこのプログラム、個人事業者であることが多い翻訳者・通訳者の間にも広がりつつあるのです。

■ メンターの起源は古代ギリシャ

メンタープログラムの起源は、古代ギリシャにまでさかのぼります。「メンター」という言葉は、ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』の登場人物「Mentor(メントール)」に由来します。メントールは、主人公オデュッセウスが息子テレマコスの養育を任せ、トロイ遠征ではギリシャ連合軍を勝利に導く助言を行ったとされる老賢人で、ここから「助言者」「教育者」などの意味で使われるようになったそうです。

現代のメンタープログラムは、従来の組織的な管理体制では行き届かなかった精神的なサポートや、自発的な判断力を養うことに重きを置いて行われていますが、では翻訳者・通訳者が自身の仕事を進めるにおいて、これを取り入れるメリットは何でしょうか?

■ 言語業界のメンタープログラム 

言語の分野でよく知られるメンタープログラムには、アメリカ翻訳者協会(American Translators Association; ATA)によるプログラムと、翻訳者ネットワークの ProZ.com によるプログラムがあります。

1. アメリカ翻訳者協会

アメリカ翻訳者協会(ATA)のメンタープログラムには、ATAのメンバーなら誰でも参加して経験豊かなメンターの指導を受けることができます。プログラムに申し込むと、登録されたメンターの中から、専門分野やメンティーの目標・興味に合致する人間が選ばれます。メンターとメンティーはまず、プログラム期間(1年間)の目標と、目標達成までのステップを設定します。その後、月に1・2時間程度のコミュニケーションを取りながら、目標の達成度合いを確認、さらに翻訳のスキルを向上させるための積極的な助言や専門知識を得ることができます。ATAの会長は「(メンティーが)学習者としてはっきりと目標を設定して学習を進めていくことが、スキル強化のための基本であり、成功するために必要なことだ」と述べています。自身がメンティーだった経験を生かして活動しているメンターが多いため、実践的かつ説得力のあるメンタープログラムとして機能しているのです。

プログラムへの参加者を毎年募っており、適宜申し込むことが可能です。また、メンティーとして指導を受けることができるのはもちろん、 メンター としてプログラムに参加することもできます。(参考:ATA Mentoring Program Enrollment Open

2. ProZ.com

世界最大の翻訳者ネットワーク ProZ.com には、30万を越える世界中のさまざまな言語および専門分野の翻訳者と翻訳会社が登録しており、翻訳業務に関するニュースや求人情報、Q&Aなどが提供されています。そのProZ.comが提供するメンタープログラムは、登録者を対象に、言語と専門分野に特化したメンタリングを行うプログラムです。2011年以降、160組がプログラムに参加しており、「複雑かつ奥深く、エキサイティング。翻訳者をサポートするための素晴らしい構想。」と評されています。

プログラムで取り扱う題材は、翻訳業界で自身のポジションを確立するためのコツ、マーケティング、ソフトウェアの使い方など多岐にわたります。メンターとメンティーはまず、目標を設定し、 ProZ.com のサポートチームに対し、学んだ内容や自分たちの経験に基づいた提案などを共有します。メンターからは翻訳の校正など、メンティーの実際の仕事に役立つ具体的なフィードバックを得られることが期待できます。

こちらもウェブから参加申し込みをすることが可能です。また、経験を活かして メンター として参加することも可能です。(参考:Submit a new support request

■ 日本にメンタープログラムは広がるか

「翻訳者として独り立ちしたいけど、どうすればよいのかわからない」、「フリーランスになれたとしても、どうやって自分のスキルを向上させればよいのか」――。そんな悩みを抱える翻訳者・通訳者に対し、メンタープログラムは大いに役立つことでしょう。とはいえ、日本の言語業界でこのようなプログラムを取り入れている翻訳会社や団体は、まだまだ少ないように見受けられます。実践・養成コースなど一定のレベルを終了した受講生向けに個別指導を設けている翻訳学校はありますが、翻訳や通訳を志すすべての人が参加できるものとなると、実現にはまだ時間がかかるでしょう。

国内で今できることとしては、英国翻訳通訳協会(Institute of Translation and Interpreting, ITI)による日本語専門ネットワーク「Jネット」(有料ですが、経験の浅い翻訳者がベテラン翻訳者の指導を受けられるメンタリング制度を設置しています)、その他、メンタープログラムとは異なりますが「アメリア」や「日本翻訳者ネットワーク(JTN)」のような会員制翻訳者ネットワークを利用して、ベテラン翻訳者の助言を得るのも一案です。先達の知恵をわかりやすく、マンツーマンでコミュニケーションを取りながら楽しく学ぶ。そうした気質が日本に根付くかは別として、スキルの向上をめざす一手法として、今後も注目すべきプログラムであることは間違いありません。
 

翻訳サービスが抱えるセキュリティリスクとは

翻訳会社

あらゆる情報がインターネット上でやり取りされる現代、不正アクセスやウイルスによる個人情報・顧客情報の漏洩や、コンテンツの不正改ざんなどを含めたサイバー攻撃は後を絶ちません。大手通信教育会社、政府関連機関、金融機関などからの個人情報流出事件が報道されたほか、最近では、安全と言われていた Wi-Fi でも暗号鍵が読み取られる脆弱性が見つかり、問題となりました。

インターネットを利用する以上、セキュリティの問題は切り離せませんが、企業も個人も関係なく危険にさらされているのが現実です。翻訳サービスと翻訳者もインターネットを介してお客様の依頼を受け、作業を進行させる以上、セキュリティリスクとは無縁でいられません。

■ 翻訳会社には重要情報がたくさん

翻訳をはじめとする言語関連サービスを提供する企業にとって、お客様の情報、つまり顧客情報はもちろん大切なものですが、翻訳業界ならではの重要情報の取り扱いについても、十分注意する必要があります。それは、翻訳対象のファイルに書かれているあらゆる情報です。最新の研究、開発中の医薬品、新製品の説明書、会社のプレスリリース、法律文書など、秘匿性の高い情報が外部に漏れることは許されません。お客様の新製品の情報が外部に漏れて競合他社の手に渡ってしまうようなことが起きたら、事業展開に影響が出ます。開発中の新薬の情報が漏れて特許申請されてしまえば、長年の研究が水泡に帰してしまいます。

顧客の業種は多種多様で依頼内容も多岐にわたりますが、どんな情報であれ重要な情報であることに変わりはありません。顧客からの信頼のもとで重要な情報を預かり、作業していることを常に意識しておく必要があります。

■ そこら中に転がるリスク

インターネットの普及は世界中の言語を世界中で翻訳することを可能にしましたが、反面、セキュリティリスクが増大したのは事実です。多くの 翻訳会社 は社内でプロジェクトの管理や編集などを行いますが、一方で相当な人数の外部事業者(フリーランスなどの登録翻訳者)を抱えています。登録翻訳者は国内外問わず点在しており、依頼言語や内容に応じて選ばれますが、その際、顧客ファイルにアクセスする必要が生じます。が、そのアクセス方法や利用ソフトは多種多様です。複数名の翻訳者がいろいろな国からさまざまなネットワークを経由してサーバーまたはファイルにアクセスすることだけでも、インターネットセキュリティのリスクを負っていることになります。

さらに、ファイルを共有するためにログインIDやパスワードを共有したり、セキュリティレベルを確認することなく大容量ファイル預かりサービスを使ってファイルを転送したり、ファイルサイズが小さいからとメール添付でファイルの送受信を行ったり、テキスト文を検索エンジンにテキストコピーして検索にかけたりと、どれも普通にやってしまいそうなことですが、これらも大きなリスクです。実際、ネット上の翻訳サービスに入力した文章がそのまま公開されてしまうという問題が、数年前に発生しました。これは、翻訳結果がサーバーに保存されていたことで、意図しない情報漏洩につながってしまったというケースでした。サービスを提供する側からの情報提供が不足していたため、顧客がサービスを発注する際に「サーバーへの文書保存に同意しない」という選択肢があったことを知らなかったのです。

■ 翻訳サービスがなすべきセキュリティ対策とは?

このような問題を防ぐためにも、翻訳サービスを提供する 翻訳会社 がすべきことは、顧客に対してセキュリティポリシーについても十分に説明しておくことです。その上で NDA(秘密保持契約)の締結を求められたり、セキュリティに対する具体的な要求があれば、できる限り対応するべきでしょう。問い合わせ窓口や連絡先を明確にしておくことも、信頼関係を築くためには大切です。

さらに、このような運用上の注意に加え、技術的な注意も必要です。翻訳会社によっては翻訳メモリや特定のソフトを利用して翻訳を行います。翻訳メモリを導入している場合には、元原稿と翻訳結果の両方をセットで共有データベースに蓄積させますが、この際、蓄積先(一般的には社内サーバー)に保存したファイルのやり取りやファイル保存には、十分な安全を確保しておく必要があります。

また、もう1つ重要なことは、作業に関わる人員の指導・教育です。プロジェクトに従事する社員および登録翻訳者すべてが、自分たちがアクセスしているファイルや情報の秘匿性がどれほど高いかを理解し、慎重に取り扱う必要があります。個人PCへの不正アクセスをきっかけに、ハッカーやウイルスにネットワークへの侵入を許してしまうようなことにもなりかねない昨今、インターネットセキュリティの基礎教育を行い、リスク管理の認識レベルを上げることにより、プロセス全体のセキュリティを強化することができるのです。

■ 翻訳者ができるセキュリティ対策とは?

インターネットが普及し始め、翻訳ファイルをメールで添付納品していたころ、翻訳者の心配事はOS(オペレーティング・システム)やソフトの互換性、添付ファイルの文字化けやサイズなど、活用に関するものが中心でした。それから10数年、急速に進んだ技術革新により、最大の心配事はセキュリティ(安全性)に変わってきました。翻訳に携わる人間として、基本的なセキュリティ対策はできているでしょうか。以下をチェックしてみましょう。

1. ファイルにパスワードをかけていますか。
2. 覚えられないパスワードをPC付近など安易な場所に書き留めたり、保存したりしていませんか。
3. 一般に公開している情報から推測可能なパスワードを使っていませんか。
4. 同一パスワードを使い回していませんか。
5. パスワードは十分に長く複雑なものになっていますか。
6. パスワードの入力を他者に見られていませんか。
 
IT技術の進歩で利便性が向上したはずが、何にでもパスワードが要求されて不便極まりないという意見はもっともですが、 翻訳会社 がこれらを徹底しないかぎり、ビジネスを共にする相手からの信頼を勝ち得ることはできないと言っても過言ではありません。翻訳や校正の技能が高くてもセキュリティがおざなりでは、仕事のチャンスを逃すことになってしまうのです。安全を確保してくれる、信頼できる翻訳者を指名して依頼する企業も出てきています。セキュリティ対策は、重要な情報を取り扱う人間としての責務なのです。
 

少数派言語の翻訳が命を救う

医療情報
 
利用者(話者)が少ない、あるいは利用される範囲が限定される「少数派言語」を守ろうという試みがあります。少数派言語は、先住民族などの言葉も含めると6,000以上も存在します。にもかかわらず、それらが使用される機会はまれです。英語をはじめとする多数派言語と少数派言語の両方を理解できる人もいますが、少数派言語のみしか理解できない人は、本来入手すべきはずの情報を入手できない、といった事態に陥ることになります。スーパーマーケットのセールの情報なら笑い話で済むかもしれませんが、もしそれが医療のような、生きるために必要な情報だったら……。言語の保全は、文化的な必要性に留まらないのです。

■ 言語は平等ではない

世界中の少数派言語のみを使っている人の多くは、彼らの言葉で医療情報を得ることがほとんどできません。例えばインド。この国には数え切れないほどの言語が存在していることは知られていますが、医療情報がすべての言語に翻訳されているわけではありません。インド政府はヒンドゥー語と英語を国の公用語と定めており、その他の言語をどのように扱うかは、各州の判断に委ねています。

また、メキシコではスペイン語が多数派言語ですが、238もの言語が現在も存在しており、うち68言語だけが、メキシコ政府の「言語の権利に関する法律2003」によって、公用語として認められています。これによって情報提供に偏りが生じていることが予想されます。

このように、世界のあらゆる少数派言語が平等に扱われているわけではありません。特定の少数派言語の話者は、自分の国にいながら「言葉の壁」によって情報が得られないばかりか、必要な医療処置が受けられない事態にも陥りかねません。最悪の場合、生死に直結する問題にもなり得るのです。

■ 言語の壁が死をも招く

人道的翻訳サービスの提供を目的として2010年に設立されたアメリカの非営利団体(NPO)「国境なき翻訳者団」 (Translation Without Borders; TWB) は、 言語による情報ギャップを埋めるべく、これまでに3,000万語を超える翻訳を行ってきました(2017年10月の時点では、翻訳したワード数は5,000万を突破)。これは、翻訳料金に換算すると600万ドルに相当します。

TWB ケニアのプロジェクトマネージャー Peter Kamande はインタビューで、自身の経験を語っています。 Kamande の友人は、不衛生な環境下での中絶に伴う合併症で亡くなりました。 Kamande は、避妊方法に関する情報が英語でしか入手できず、現地の少数派言語では提供されていなかったことが、友人の死の原因だと話します。医療施設から配布されたパンフレットは英語で書かれており、英語が読めないその友人は、理解できなかったのです。彼女は友人の助けを借りて内容の理解に努めたものの、その友人の英語力も不十分だったため投薬指示を読み間違え、数日後に18歳の若さで他界したのです。まさに、言葉の壁が早すぎる死を招いたと言えるでしょう。

翻訳・ローカライゼーション業界を専門とする調査会社「コモンセンスアドバイザリー」 (Common Sense Advisory) が2012年にアフリカ地域の翻訳者に対して調査を行いました。それによると、少数派言語話者が医療情報をもっと入手できる環境が整えば、親族や友人の死は避けることができたはず――と答えた翻訳者は、63%に上ったのです。

TWB は医療情報のギャップを埋めるため、誰もが利用可能なインターネット百科事典「Wikipedia」や ウィキメディア・カナダ (Wikimedia Canada) などの多くの非営利団体、大手携帯電話サービスプロバイダーなどと連携して、重要な 医療情報 やアドバイスを、各地の少数派言語で伝えています。英語版ウィキペディアに掲載された医療記事のうち上位80本を特定し、医師で構成されるチームがそれらの記事の正確性を確認。その後に編集者チームが、より分かりやすい英語に書き直し、最後に翻訳者チームが、記事を自分たちの母語に翻訳するのです。このプロジェクトは主として、信頼できる情報をオンラインから入手できない言語(ベンガル語、マケドニア語、ダリー語、グジャラート語、タミル語など)に焦点を当てており、それぞれの言語の話者がボランティアで翻訳を行いました。

■ 医療記事を80言語に

前述したように、世界には無数の少数派言語が存在しているにもかかわらず、それらの多くは、翻訳によって利益を得られるほど市場規模が大きくないため、医療情報を含む重要な情報の翻訳が行われず、結果として情報が提供されないままとなっています。世界の何百万もの少数派話者が時代に取り残され、生命を脅かされる事態まで生じているのです。

TWB やその他の社会問題に関心の高い組織・団体は、協力してこの問題に取り組み始めています。 TWB は、基本的な医療情報が届いていない何億もの人々に情報を提供するため、英語版ウィキペディア上で特定した80本の医療関連記事を80の少数派言語に訳出することを最初の目標としています。数多くの名もなき勇者たちが非営利で翻訳を行い、今日も世界のどこかで、少数派言語の話者の命をつないでいる――。翻訳とは、命を救うことにもつながる尊い仕事なのです。
 

広がるインターンシップ – 言語業界では?

インターンシップ
 

日本でも大学在学中にインターンシップに参加することが一般的になってきました。2018年度卒学生にインターンシップの参加経験を聞いたあるアンケートでは、43.7%の学生が参加したことがある、と答えています。

翻訳をはじめとする言語業界の仕事でも、インターンの受け入れは進んでいるのでしょうか?実際は、国連やユネスコのような公共組織以外での受け入れは、進んでいるとは言い難い状況です。国を挙げての「グローバル人材育成」が進む中で学校教育に外国語学習が盛り込まれ、さらに幼少時からバイリンガル、トリリンガルな環境で育つ人が増えている昨今、人材不足が原因とも思えません。なぜこの業界でのインターンシップが進まないのかを考察します。

■ 学生にも企業にもメリット

インターンシップとは、特定の職業の経験を積むために、一定期間に企業や団体などで労働に従事することで、学生が在学期間中に行うことが一般的です。「1日インターンシップ」から短期型、長期型と選択肢が増えており、参加する学生側から見れば、実際に企業の中に入って社員と共に業務に携わることで、企業や業界の実態を垣間見ることができます。さらに、社会に出る前から実践的なスキルを身につけ、自分の適性を確認することも、人脈(ネットワーク)作りの機会を得ることもできるのです。

一方、受け入れる企業側は、会社を知ってもらうことから将来の入社を念頭に入れた人材選考の一環としてまで、幅広い目的で インターンシップ を実施します。企業にとってインターンシップは、低コストで能力を提供してくれる人材を確保する場であり、若手人材のスキル・能力を採用判断前に把握することができる、つまり将来的な採用コストとリスクの削減につなげられる機会なのです。

このように、インターンシップは学生・企業の両方に大きなメリットがあることから、外資系企業に比べて「お堅い」日本企業にも広がりを見せています。それにもかかわらず、言語業界ではインターンシップの受け入れが進んでいないように見えるのは、なぜなのでしょうか。

言語業界の特性がインターンシップの壁に?

言語業界は業務内容が専門的である――。これが、インターンの受け入れが進まない要因の一つとして考えられます。

翻訳や通訳の内容は法律、金融、ITから化学まで多岐にわたり、翻訳者・通訳者はもちろん、プロジェクトの進行に従事するスタッフにも技能と経験が要求されます。まず、顧客から依頼される内容を正確に理解し、適切な翻訳者・通訳者を選定する。依頼の分量が多い、あるいは納期が短い場合には複数の翻訳者を手配し、それぞれの作業品質と納品までのスケジュールを管理する。通訳の場合でも、依頼が同時か逐次か、また、話者の話が専門分野に特化しているかによって、それに対応できる通訳者を選出する。こうした状況判断には、専門知識と経験が不可欠です。翻訳・通訳自体は専門職なのでインターンには無理ですが、関連の作業を分担するとしても、インターンにできる作業を切り離すのは難しく、かつ限られたインターン期間内に仕事を覚えてもらうためのトレーニングを行うことは困難です。

このような実務上の難しさに、納期に追われる業界の特性が加わり、インターンの受け入れ自体に十分な時間を割くことができないのが現状と言えるでしょう。

インターンシップを成功させるコツ

では インターンシップ を有効に活用するために、企業は何をすればよいのか。一般論にはなりますが、学生と企業の両者が成果を得るための大切なポイントを挙げてみます。

1. 企業と大学との関係構築

企業と大学が友好な関係を構築できれば、企業にとってはインターンシップに参加する学生を取り込む助けとなり、大学から見ても学生の雇用機会の増加ならびに就職実績の向上が期待できます。手始めに、地元にある大学との関係構築を図るのがよいでしょう。

2. 会社のプロモーションと就労体験

企業はインターンシップを通して、大学や学生に会社を知ってもらう機会を持つと共に、社会に開かれた会社としてのイメージアップを図ることができます。これは長期的に見て、会社に対する信頼感・安心感の醸成につながります。学生は、インターン期間中に社内文化や行動規範について学ぶことができます。多くの場合、学生にとっては初めての本格的な就労体験となるので、企業が学生に期待することをあらかじめ明確に示すことが必要です。

3. バディ制度の導入

学生にとって就業経験は大きなチャレンジ。バディ制度(インターン一名に対し社員を一名付けて、マンツーマンで指導を行うこと)を導入し、学生の心理的な負担を軽減すると共に、社員にとっては後輩の面倒を見る立場に立つことで、指導の仕方を考え、自身の業務を顧みるよい機会にもなるでしょう。インターン経験を持つ社員がバディになり、自身の経験も踏まえた話ができれば理想的です。

4. 定期的なチェックとフィードバックの実施

インターンが指示された業務をきちんと遂行できているかを定期的にチェックし、かつフィードバックを行う必要があります。これにより、関係者全員がインターン一人ひとりの状況を正確に把握し、何か問題があった場合には即座に対処できるようになります。

5. リアルな実務体験

インターンには可能な限り実務に携わり、リアルな就業経験をしてもらうようにしましょう。特別な指導や一定の訓練が必要であっても、社員が実際に行う業務に携わって初めて、学生はやりがいを覚えるもの。新鮮な目線から見た実務のカイゼン点、また業務に対する学生の適性など、思わぬ発見があるはずです。

■ 若い世代を取り込もう

業界ならではの専門性や多忙さといった課題はあるものの、言語業界でインターンシップを採用する機会や、若く優秀な人材に活躍の場を与えられる余地は十分にあります。問題は、各企業がインターンシップ採用を意義あるものと捉え、踏み出すか否かです。

グローバル化がますます進む昨今、企業が多言語への対応に追われるのと同時に、言語を扱う仕事の必要性は増しています。反面、外国に対してオープンな意識を持っている学生は外国語との心理的距離もどんどん縮めているので、言語に関わる仕事への関心が高まることが予想されます。また、言語業界にもAI (Artificial Intelligence) を含めたITが活用されてきていることを踏まえれば、それらへの抵抗が低く、かつ新しい感覚や柔軟な発想でそれらをさらに活用できる可能性が高い若い世代が必要となってくることでしょう。若い世代からの関心を生かし、言語業界を益々発展させるためにも、インターンシップを受け入れられる体制づくりを少しずつでも進めていきたいものです。
 

翻訳者と通訳者-こんなに違う「伝える」シゴト

翻訳者_通訳者
 

最近、成田空港に導入された「メガホンヤク」をご存知ですか?「ドラえもん」のポケットから出てくる道具のようだと話題になったメガホン型の翻訳機で、日本語を英語、中国語(北京語)、韓国語にして再生することができます。空港など外国人の多い場所で係員のアナウンスを多言語に変換し、誘導などを補佐するものですが、話者の発言を他の言語に置き換えるにも関わらず「通訳機」ではなく、その名はずばり「ホンヤク(翻訳)機」。英語でも Megaphone Translator と紹介されています。メガホンと翻訳をかけた絶妙なネーミングですが、このメガホンが話者の発する言葉を「通訳」するのではなく、事前に登録された言葉(文章)に置き換える「音声翻訳」を行うものであることから、この名前になったものと思われます。

似たようなイメージで見られがちな「翻訳」と「通訳」。この違いは何なのか。翻訳者と通訳者に求められるスキルや必要な訓練に違いはあるのか。あらためて整理してみましょう。

■ 翻訳と通訳は完全に別モノ

表面的には、翻訳者は「書き言葉」を、通訳者は「話し言葉」を扱っているという違いがありますが、根本的な部分で翻訳と通訳に求められるスキルは異なります。翻訳者に求められるのは、原文の言語(ソース言語)を理解し、その文化的文脈に沿って、辞書や参考資料、CATツール(コンピュータ支援翻訳ツール)などを用い、正確に他の言語(ターゲット言語)に置き換える能力です。一方、通訳者は現場で話者が話す言葉を同時あるいは逐次に変えていく必要があるため、卓越した聞き取り能力と短時間に効率的なメモを取るテクニック、人前で話す力が求められます。特に同時通訳の場合、ターゲット言語へのアウトプットはソース言語の発話から5~10秒以内です。ほとんど瞬間的とも言える時間の制約の中で、話者の言葉を聞きながら、即座に情報をまとめて的確な言葉に置き換える力が必要です。

求められる正確さにも違いがあります。翻訳は、下調べを重ねて内容を十分に理解した上でテキストを作成します。原稿を納品前に推敲する時間がある分、訳文には高いレベルの正確性が要求されます。通訳は、話者の話した内容を脚色せず「言語変換」に徹します。正確さよりも、時間(瞬間的な対応)と意味が伝わることが重視されます。

また、それぞれの仕事が必要とされる場所も異なります。最近は、外国人旅行者や居住者が増え、多方面で翻訳・通訳の仕事が増えています。ビジネス文書の翻訳など産業翻訳と呼ばれるものの他に、小説の翻訳(文芸・出版翻訳)や海外ドラマなどの翻訳(映像翻訳)、比較的新しいものとしてはゲーム翻訳や観光客向けホームページのための多言語翻訳などの需要が増えています。

一方、外国人観光客を案内する「通訳ガイド」の需要も増えています。通訳は、人と人を直接つなぐので、コミュニケーションをとることが好きな人や人前に出て話すのが得意なタイプに向いていると言われます。

■ 翻訳には緻密さ、通訳には大胆さ

通常、翻訳者・通訳者は自分自身の母語と他の言語の置き換えを行います。翻訳は、多くの場合、どの言語をどの言語に(例えば、日本語から英語、または英語から日本語)するか、事前に「方向」を確定させます。求められるのは、元の原稿の内容に精通する専門性や語彙の豊富さ。時間をかけて、正確かつわかりやすい言葉の置き換えを行います。

一方、通訳はいわば「生中継状態」。話す内容が事前に大まかに決まっていても、話の進み方次第で臨機応変に対応しなければなりません。それだけではありません。話し手が強調する部分は話し方を大げさに、笑いを取ろうとしている部分などはニュアンスが言語間の文化を超えて伝わるよう、思い切った言葉選びをする必要も。優秀な通訳者は、一つひとつの単語、文章を「訳す」のではなく、概念を理解するや否や、素早くターゲット言語で「説明」しているとも言えます(頭の中では2つの言語が同時に飛び交っているのかもしれません)。

あいまいな表現が多い日本語を、具体的な表現で説明することが多い外国語にどう置き換えれば、より分かりやすく伝えられるか。これも、翻訳者と通訳者が共に頭を悩ませる難題です。語彙の面でも、外来語だけでなく外国語やカタカナ語(技術関連用語や新語など)が氾濫し、どこまでが一般に通用するのか、あいまいになってきています。翻訳の場合、メッセージに込められた背景、ニュアンス、表現まで考慮した上で、ターゲット言語のネイティブが読んだ際に違和感なく理解できる文章にしなければなりません。通訳と違って読者を特定できないため、カタカナ用語や専門用語を使う際には、日本語に置き換えるか注釈をつけるなどの工夫が必要となります。一つひとつの文章を正確かつ適切に訳すことにより、メッセージを伝えることが重要なのです。

一方、通訳であれば、発話全体の意味を捉えて、聞き手にとって分かりやすい(と推定される)近似的な言い回しに「訳す」ことでしょう。聞き手が理解できるものであれば、一般的ではないカタカナ語を使うこともできます。そもそも、ソース言語とターゲット言語の単語レベルですら意味が完全に一致するとは限らないので、一言一句ではなく話の筋が伝わることが重要視されるのです。

翻訳者には「緻密さ」が、通訳者には「大胆さ」が求められるとも言えるでしょう。

■ 翻訳は通訳よりラク?

では、納期があるとは言っても極端な時間制約がなく、方向性も決まっている翻訳のほうが通訳より楽なの?と思われてしまいそうですが、翻訳者には通訳者とは異なる苦労があります。翻訳の仕事では、原文を丁寧に分析し、正確な意味を伝えることが求められます。まず、専門のデータベースなどを使って原稿の分野に関する調査・検証を行い、理解を深めてからようやく翻訳作業に臨みます。誤訳は防いで当然。固有名詞やターゲット言語の文化的背景、流行語……。注意すべきポイントは山ほどあります。そして訳文が完成しても、今度はその訳文が、校正者、関連分野の専門家、品質管理の専門家などの厳しい目によって、じっくり精査されるのです。

翻訳には翻訳ならではの、通訳には通訳ならではの苦労があり、どちらのほうが楽ということは決してありません。

■ メッセージを「伝える」には

このように、似て非なる翻訳と通訳。それでも、ソース言語・ターゲット言語および文化的背景に通じていること、文化に内包された概念や言語上のニュアンスをも表現すること――これは両者に共通して必要とされる能力です。それをもって初めて、他の言語を使う相手に、メッセージの真意を伝えることができるのです。言語が話せるからと言って、一日や二日でできるものでは決してありません。

手段は違えども、いかに相手に的確なメッセージを伝えるか。その一点を見据え、翻訳者と通訳者は日々、努力を重ねているのです。


家系図翻訳 ―過去と現在をつなぐ仕事―

家系図_翻訳
 
日本ではあまりなじみがありませんが、 家系図 や故人の経歴を記した文書などの翻訳の需要が増えています。日本の戸籍のようなシステムのない国では、海や国境を越えて新天地へと移住してきた祖先の来歴を知りたくても記録がなく、記録や資料が残っていても別の言語で書かれていて読めないという事情があるのです。今回は、家系に関する文書(系譜)の翻訳の話です。

■ 家族の宝物

る翻訳会社のもとに老紳士から、こんな依頼があったそうです。

「2つの文書の翻訳をお願いしたい。1つは、地元で尊敬を集めていたラビ(ユダヤ教における宗教指導者)である父の経歴を記した文書。もう1つは、その父の父、つまり祖父の一生についてしたためた文書。これらはヘブライ語で書かれており、読むことができないため、英訳する必要があるのですーー」

古雅なヘブライ語である上、多くの略語があり、翻訳にはかなりの時間を要したとのこと。しかし、いざ英訳した文書をお客様にお届けすると、それはもうたいへんな喜びようだったそうです。老紳士は言いました。

「家族の宝物を翻訳してくれて、ありがとうございます――」

■ 家系調査の今昔

「To remember where you come from is part of where you’re going.(自分の来歴を知ることは、自分が今向かっているところと切り離しがたく関わっている)」

これはイギリスの作家アンソニー・バージェスの言葉です。人は、時代を問わず、自らのルーツを知るため、そしてアイデンティティを確立するため、先祖の物語・遺訓・しきたりを大切にしてきました。そしてそれらを文書に記し、子孫に語り継いできたのです。家系を知ることは自分のルーツを探るだけでなく、埋もれている家族の歴史や文化的遺産を掘り起こすことでもあるのです。

先祖とは今を生きる私たちの一部でもあり、大切な存在ですが、幾世代にもわたってその記憶を継承していくことは、容易ではありません。特に一昔前までは、戦争や迫害、飢饉、天災などから逃れるため何世紀にもわたり移住を繰り返してきた人たちが家族の歴史をさかのぼることは、大変な労力を要する作業でした。各国の政府や自治体が住民の記録を残す配慮をしてきたとはいえ、保管された記録を一つひとつ調べるのには多くの時間がかかります。専門の業者がいて家系図の調査などへのアドバイスをしてくれることもありますが、資料を入手できても、見慣れたアルファベット以外で書かれている場合には解読が難しい上、場合によっては、他国での調査を行うための現地ガイドや翻訳者をその都度、雇う必要がありました。

近年は、世界中の保管記録や目録がデジタル化され公開されるようになってきました。オンラインで閲覧できるものもあり、自分のルーツを探るネットサービスや古い手書き文書を書き起こすソフトすらできています。デジタル技術の恩恵により、調査や情報収集は少し楽になりましたが、自分が読めない言語で書かれていれば翻訳が必要です。そこで、家族の過去と現在をつなぐ作業の一翼を担う、家系図または経歴を記した文書を専門に取り扱う翻訳者が必要とされるのです。祖先の足跡にアクセスしやすくなったことで、ルーツ探し市場が活性化しており、この分野の翻訳の需要も増えることが予測されます。

■ 系譜翻訳者に求められるもの

とはいえ、系譜の翻訳は翻訳者にとって簡単な仕事ではありません。

資料が手書きの場合は解読から始めなければならず、それには想像を絶する苦労を強いられます。古い文書の場合、ページやインクの節約のために略語や略字を使用していることが多く、熟練した専門家でさえ理解不可能なことすらあるのです。また、かつては綴り字や文法も不統一だったため、特定の文字が併用・混用されていることもあり、これらが略語同様、名前の同定すら困難にします。よい翻訳を提供するため、翻訳者には、こうした言語上の癖にも対処する術が求められるのです。

こうした困難を伴う分、それを専門とする翻訳者は、依頼者の役に立っているという大きな喜びを得ることができるでしょう。家族が先祖に目を向け、その歴史を解き明かす一助になる。そして、翻訳物が依頼者の家族の宝となる――。産業翻訳とは異なるやりがいと達成感があるに違いありません。

過去を探る市場は、これからも活性化しそうです。
 

機械翻訳はここまで来た!

機械翻訳
 
機械翻訳の性能が飛躍的に向上しています。特にこの10年程度の技術の躍進には目を見張るものがあります。日本では外国人観光客と2020年の東京オリンピック・パラリンピックに対応すべく、機械翻訳機能を登載した案内サービスが増えており、その性能に驚かされた方も少なくないかもしれません。今回は 機械翻訳 の進歩の歴史に迫ります。

■ 精度は今も上昇中

機械翻訳は、文章を単語や文節(フレーズ)にバラバラにしてから逐語訳をするルールベース翻訳(RBMT: Rule-Based Machine Translation)から始まりました。それが対訳コーパスを利用する統計翻訳(SMT: Statistical Machine Translation)、そして第3世代のニューラル機械翻訳(NMT: Neural machine translation)の登場で、さらなる精度の向上が図られています。スマートフォンやPC利用者には身近なGoogle翻訳ですが、これはまさに、NMTのニューラルネットワークを利用した機械翻訳です。

これまでは、欧米の言語と日本語など、文法や単語の類似が少ない言語を翻訳する際には、逐語訳したものをつなげ直す従来の翻訳技術だけで精度を上げることは困難でした。そこで、翻訳機械に学習機能をつけるという技術革新、つまりNMTが開発され、近年の飛躍的な進歩が成し遂げられたのです。膨大な対訳データをコンピュータ自身が「学習」することで翻訳精度を上げるNMTは、データ処理能力と速度が格段に進歩した現代だからこそ可能になった技術です。

■ ニューラル機械翻訳の革新性

2016年9月、 Google社はGoogle翻訳にNMTを導入することを発表、11月には8つの言語ペアをGoogleニューラル機械翻訳(GNMT: Google Neural Machine Translation)に切り替え始めました(この発表に先立ち、先行導入されていた英語⇔中国語にフランス語・ドイツ語・スペイン語・ポルトガル語・日本語・韓国語・トルコ語が追加された)。これらの言語で、Google翻訳のクエリの35%以上をカバーするとのことです。

GNMTは、文全体を訳出することで、より文脈に沿った自然な翻訳を提供してくれます。これを可能にしたのが、ニューラルネットワークによるディープラーニング(深層学習)です。生物の脳の神経細胞(ニューロン)ネットワークをモデルとしたアルゴリズムを使って機械に学習させるのですが、この際に重要なのが「長・短期記憶(LSTM: Long Short-Term Memory)」で、システムに長期の時系列データを学習させることで、自然な言語処理を可能にしています。人間の脳では、ニューロンに電気信号を送ることで情報伝達・学習を行っていますが、コンピュータのディープラーニングは画像処理ユニット (GPU: Graphics Processing Unit)や、機械学習に特化した集積回路であるテンソル処理ユニット(TPU: tensor processing unit。推論する性能を向上させる。)などの技術開発によって支えられています。

Googleはディープラーニング専用プロセッサTPUの開発を進めてきました。囲碁AIの「AlphaGo(アルファ碁)」にもこのTPUが利用され、人間のプロ棋士に勝利するに至ったと聞くと「すごい技術だ」ということだけは分かります。Googleはこの自社開発の高性能なTPUによる機械学習をGoogle翻訳に適用させ、予想以上の性能を示す「ゼロショット翻訳」が可能なニューラルネットワークを構築するに至ったのです。

■ ゼロショット翻訳とは

アルファ碁のすごさは、碁の打ち手の膨大な入力パターンを学習して状況を認識し、評価し、意思決定するというプロセスを可能にしたことです。では、翻訳システムもこうした学習が可能なのでしょうか?翻訳システムに特定の言語ペアの翻訳を学習させたら、他の言語ペアの翻訳にも対応できるのでしょうか?つまり、言語ペア間の翻訳作業を直接教え込まなくても学習することができるようになるのでしょうか?

この疑問に答えるべく、Google社の研究者たちは、翻訳システムである実験をしました。日本語⇔英語の翻訳と韓国語⇔英語の翻訳をシステムに共有し、韓国語⇔日本語の翻訳をやらせてみたのです。結果、このシステムは直接の訓練を受けていない2か国語の翻訳を、英語を介さずにやってのけたのです。Google社はこのように明示的なトレーニングを受けていなくとも実現する翻訳方式を「ゼロショット翻訳」と呼んでいます。

Google社の研究者たちが見出したのは、このニューラル機械翻訳システムが、ある言語ペアで学習した「翻訳知識(translation knowledge)」を他の言語ペアに移行させているということでした。そして、このネットワークは、単純にフレーズごとの訳文を記憶するのではなく、文章の意味についてもエンコード化しており、ネットワークに中間言語(interlingua)が存在すると考えられる、と結論づけました。言い換えれば、言語間の翻訳を行って意味・概念を共有したことで、システムが独自の内部的言語を開発したのでは……と考えられる事態となったのです。この新しいシステムについては研究途中ですが、機械翻訳における学習知識の言語間移行の実現は、革命的であることに違いありません。

■ 進化はどこまで続く?

Googleのオンライン翻訳ツールサービスが開始(2006年4月)されてから10年以上が経過しました。サポートする言語は103言語にまで拡大。ハワイ語やクルド語など話者数の少ない言語も追加され、今や世界のオンライン人口の99%をカバーし、1日あたり1,400億以上の言語翻訳を実行するに至っています。

技術開発によりGNMTのような有効な翻訳システムが現れ、機械翻訳の質が大幅に改善されたことは明白です。各国の言語の相互翻訳が瞬時に、ある程度の精度でできることのインパクトは計り知れません。Google社が先導する日進月歩の技術革新は、グローバルコミュニケーションに大変革をもたらす可能性を秘めています。

とはいえ、GNMTでも珍奇な単語や固有名詞を翻訳させると逐語訳に戻ってしまいますし、人間による翻訳では起こらないようなミスを犯すことも事実です。人間による翻訳と機械翻訳には、まだギャップが残っているのです。システムの学習能力が進歩しても、あらゆる翻訳パターンにおいて言語のニュアンスを的確に伝え、文化特有の表現や価値観、コンテクストまで表現するのは困難です。……というのは大方の予想ですが、これまでも幾度も私たちの予想を超えてきた機械翻訳。今後どこまで進化するのか、目が離せません。
 
参考:
Google’s Neural Machine Translation System: Bridging the Gap between Human and Machine Translation
https://arxiv.org/abs/1609.08144
Google’s Multilingual Neural Machine Translation System: Enabling Zero-Shot Translation
https://arxiv.org/abs/1611.04558