翻訳会社を選ぶときに確認しておくべきこと

翻訳を依頼したいとき、どの翻訳会社を選べばよいのか分らなくなることはありませんか。ここでは、翻訳作業を外注しなければならなくなった時、どのようなことに注意して依頼先を選べばよいかをみてみます。

まず、翻訳会社を探す前に確認しておきたいことが3つあります。それによって依頼先を選ぶときに注意すべきことも見えてきます。

  1. 翻訳する目的は
  2. 何語に翻訳するか
  3. 何を重視するか

翻訳の目的

翻訳する目的はさまざまです。例えば、「資料」を翻訳するにしても、内部向けか外部向けか、教育用か販売促進用か、プレゼン用か配布用か、など目的に合わせた翻訳が求められます。目的が曖昧なまま依頼してしまうと、訳文も曖昧になりかねません。また、翻訳は基本的に料金と質が比例するものです。何を目的に翻訳するのかを明確にしておきます。

例えば、

・「ここに書かれていることの大枠が理解できればいい」というレベルの翻訳であれば価格を下げて質を妥協することも可能です。

・ウェブサイトに掲載して購買者の興味を引くための翻訳であれば妥協はできません。商品紹介文の正確性はもちろん、商品の魅力を引き出すキャッチコピーはターゲットの国民性・地域性に合わせた大胆な提案も求められます。

・学術ジャーナルに論文を掲載することが目的なら、該当分野の博士号・修士号保有翻訳者が翻訳すれば、分野に合わせた専門用語や言い回しに翻訳してもらうことができます。

・複数ヶ国でアンケートを実施する場合など、正確な比較対象まで求められる場面なら、一度翻訳したテキストを逆翻訳(バックトランスレーション)することで言葉のニュアンスまできちんと意図する通りに翻訳されているか、各言語に同じ意図が反映されているか確認することもできます。

翻訳言語

たくさんの翻訳会社が翻訳サービスを提供しています。とはいえ、英語や中国語のように利用者数の多い言語であれば対応している翻訳会社は多いものの、利用者数の少ない希少言語になると扱っている会社の数は少なくなります。しかも言語ペアによっては、他の言語を間に挟む必要がある場合もあり、そうなると時間も費用も余計にかかることになってしまいます。翻訳会社の扱っている言語、提供しているサービス内容を把握しておくことが大切です。

重視すること

翻訳サービスに依頼する際、何を重視するかも確認しておくべきです。価格なのか、品質なのか、スピードなのか―最近では機械翻訳の精度が高くなっているので、スピードを重視する場合には機械翻訳を取り入れている翻訳会社を選ぶことも一案です。しかし、誤訳が許されない文章や公開を前提とした文章の翻訳のように、品質を重視する場合には多少価格が高くなっても専門技能を有する翻訳者に依頼する方が安心です。どこをチェックするのかや、そのチェック方法なども含めた翻訳サービスの内容を把握した上で、何を重視するかを踏まえ、料金と目的に合わせた翻訳サービスを選択する必要があります。

これら3点を確認したところで、翻訳会社のサービスを比較してみてください。翻訳作業は「翻訳」だけに限りません。翻訳会社によってさまざまなサービスを提供しているので、その特徴を比較して自分に合ったサービスを選ぶことをお勧めします。

翻訳会社の特徴を踏まえて判断する

一般的な翻訳会社では、受注した翻訳作業を担当するコーディネーターやプロジェクトマネージャが依頼者と翻訳者をつなぎます。担当者が登録翻訳者の中から依頼内容や分野に最適な翻訳者を選び、翻訳作業を進めていきます。翻訳作業の後でどのようなチェックを行うか、翻訳されたテキストの体裁を整える作業まで引き受けてくれるか、などはその会社や選ぶプラン次第です。依頼者は、どのような納品物を求めているかを依頼時に的確に伝えておく必要があります。翻訳会社は、多くの言語・分野に対応しているので作業を依頼するメリットは大きいのですが、取り扱い言語や、産業・文芸・学術など得意とする分野は会社によって異なるので、ホームページを見たり営業担当に話を聞いたりして確認しておきましょう。

得意分野やチェック方法を確認しておくことは、翻訳の品質に大きく影響してきます。オプションでネイティブチェックなどの二次的なチェック作業が付けられるかも確認しておきます。この点は、先の3つ目の「何を重視するか」につながりますが、作業を依頼する時点で質と料金のバランスを確認しておくようにします。

もうひとつ重要なことは、その翻訳会社が信頼できるかどうかです。どのような翻訳者が採用されているのか、翻訳者トレーニング・評価制度が充実しているのか、品質を維持・向上する制度が整っているかを確認しましょう。また、品質への保証もですが、情報の取り扱いも含めた管理体制を確認しておくことは欠かせません。NDA(秘密保持契約)を締結できるか、情報セキュリティマネジメントあるいは品質管理マネジメントにつきISOなど第三者機関による認証を取得しているかなどを確認しておくことをお勧めします。

翻訳会社の選択を失敗しないために

見積もり依頼時に翻訳の目的をしっかり伝え、その目的に応じて必要なサービスを選択できる翻訳会社を選びましょう。サービス内容および料金が明確に示されているかは重要です。冒頭に翻訳は料金と質が比例すると書きましたが、高ければ良いというものでもありません。依頼する作業に求められる質を必要なサービス、相応の料金で対応してくれる会社を選べるのがベストです。翻訳およびサービスの料金は会社によって異なります。提示された見積額が相応かどうかを判断するのは難しいかもしれませんが、安さを売りにした翻訳会社に依頼して、納品物の質の悪さを嘆くのは避けたいものです。翻訳が扱うのは「言葉」という形のないものです。料金だけが判断基準ではないことは覚えておいてください。かといって品質が全てでもありません。目的に合った翻訳であるかが重要なのです。納品物の良し悪しは、依頼者側がどの翻訳サービスを選択し、見積もり時点でどのように依頼内容を伝えるかに左右されます。依頼時は以下のステップで進めてみてください。

  1. 翻訳サービスの特徴、内容(オプションなども含む)、料金を確認する
  2. 翻訳の目的と何を求めているかを明確に翻訳会社に伝える
  3. 納品物が料金に見合ったものか、要求に添ったものになっているかを確認する

翻訳サービス選びで失敗しないために、この記事がお役にたてれば幸いです。

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