学術論文の出版における倫理

2014年、日本の学術界は、理化学研究所の若き研究者が起こした研究不正に揺れました。「STAP細胞」と呼ばれた画期的な細胞の作成がトップジャーナルである『ネイチャー』で報告されたのですが、多数の研究不正が疑われて、論文は撤回されました。 今回は、学術論文を出版するさい、とくに気をつけなければならない「倫理」について考えてみたいと思います。 1. 著作者の権利(オーサーシップ、Authorship)…

研究論文での盗用を未然に防ぐには?

現在、学術出版界における重大な問題となっており、研究論文撤回の大きな理由の1つとなっている“盗用”。2014年に日本で大きな騒動となった「STAP細胞事件」においても、問題となった論文の一部に別の論文からのコピー&ペーストが疑われたほか、当該の研究者が大学院生時代に書いた博士号でも大量の盗用が見つかったことが大問題になりました。すでに確立されているアイデアや数値に基づいて論文を書くことは大事なステップですが、盗用に陥らないように慎重に作業をしなければなりません。…

日米和親条約の誤訳が歴史を動かした?

よくある話ですが……。アメリカに初めて行ったとき、税関で“alien”と書かれた列に並ばされて、「私は本当にこの列にいていいのだろうか?」とたいへん不安に思った経験があります。英語もあまり話せず、しかも生まれて初めての海外旅行でした。その後、税関の“alien (外国人/宇宙人)”の冗談話を何度も聞かされ、困惑したのは私だけではなかったのだと知って、少しホッとしたのを覚えています。…

「さすが、プロ!」と賞賛された名翻訳

映画の翻訳は、意味が通じるように訳すだけでは不十分です。字幕の場合にはひと目見ただけで、吹き替えの場合でも一瞬聞いただけで理解できるよう、短く簡潔に訳さなければなりません。とくに題名は、短く簡潔に訳すだけではなく、一度聞いたら忘れられないようなインパクトと、その映画の内容が想像できるような情報を含まなくてはいけません。そこで翻訳者の本領発揮となるわけです。…

原爆投下は、たった一語の誤訳が原因だった!?

今回は、国内における同時通訳の草分け的存在でもある鳥飼玖美子・立教大学教授の著書『歴史を変えた誤訳』(新潮文庫)から興味深いエピソードをご紹介したいと思います。 時は第二次世界大戦も終盤を迎えた1945年7月26日。アメリカ合衆国、中華民国およびイギリスの首脳は大日本帝国に対して、全日本軍の無条件降伏などを含めた13カ条からなるポツダム宣言(英語原文(PDF)、外務省訳、原題日本語訳)を発し、受諾しない場合は「迅速且つ完全なる壊滅あるのみ」とスゴみました。…

森口iPS細胞事件

1962年、英国のジョン・ガードン博士がカエルの細胞の初期化に成功し、「従来の常識を覆した」と賞賛されてから半世紀。あらゆる種類の細胞に変化できる…

ペインテッドマウス事件(サマーリン事件)

科学における不正行為としては、たとえば文部科学省は、存在しないデータや研究結果などを作成する「捏造」、研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果などを加工する「改竄」、ほかの研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果などをその研究者の了解もしくは適切な表示なく流用する「盗用」を主なものとしてあげています。そのほか論文の成立に直接貢献していないのに共同執筆者として名を連ねる「ギフト・オーサーシップ」などがあります。…
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