研究論文が却下される10の理由(4)

論文が却下される10大理由を考えてきましたが、今回はその最終回。英語を母国語としない私たちにとって、最も大きな落とし穴について考えてみたいと思います。
9. 言いたいことが飛び飛びになっていて読みづらい
著者の言いたいことが飛び飛びに書かれていて、結果として読みにくい文章になってしまうことは、英語が母国語でない私たちにとっては最も厄介な問題です。日本語と英語では「論理のつなげ方」が違いますので、日本語では筋が通った明確な文章も、英語に直訳すると読みづらく感じられます。これに、略語の多用や、日本の学術界の常識と海外の学術界の常識とのくい違いなどが加わると、説明が必要なことが省略されてしまったり、逆に常識的なことがくどくどと説明されてしまったり、ということが生じます。
査読者から「unclear(不明確)」や「redundant(重複が多い)」というコメントが戻って来たら、英語の論文を書き慣れている人に校正してもらいましょう。


10. 盗用と誤用があった
他の論文の結果や表現を引用する場合は、引用先を明記する必要があります。論文を書いたことのない人にとっては、とても簡単に聞こえるルールですが、実際に論文を書き始めると、このルールには意外にもトリックがあるということがわかります。
たとえば会員限定で発行されているジャーナルに投稿された論文の結果など、引用元の論文全体を自分では確認できないことも多々あるのですが、他の論文でそれが引用されている箇所のみを読んで、全体を読まないまま、「読んだこと」にしてしまうことも技術的には不可能ではありません。しかし、その理解は不十分なままでしょう。
また、いまは多くの論文が電子化されているので、コピー&ペーストによる盗用も簡単にできてしまいます。しかし、引用の盗用や誤用は研究者に取って命取りとなります。掲載前に見つかることは稀ですが、研究者のなかには、不採用の手紙といっしょに査読者から「私はこのようなことは言っていません」と返事が来たという人もいます。掲載後に他の読者から指摘された場合も含め、このようなことがあると、今後、あなたの名前がブラックリストに載る可能性もあります。
他の論文に引用された研究を自分が引用したい場合には必ずオリジナルを確認し、引用するときには細心の注意をもって当たりましょう。どんなに重要な研究でも、確認のできない論文に関しては引用しない、または、脚注にそのことを注記することをお勧めします。

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