研究紹介ポッドキャストの始め方

オーストラリア国立大学(ANU)のインガー・ミューバーン(Inger Mewburn)教授が、大学院で勉学に勤しむ学生さんにお役立ち情報をお届けするコラム「研究室の荒波にもまれて(THE THESIS WHISPERER)」。今回は、研究を紹介するポッドキャスト番組の始め方をご紹介します。


この記事は、ケイティ・リンダー博士がポッドキャスト配信について書いてくださったものです。以前、研究者がポッドキャスト配信をすることの利点について述べましたが、今回は、ポッドキャストを始めるための実践的な戦略を提示しています。私もやってみようと思います!ケイティのポッドキャスト「Research in Action」をまだお聞きになったことがない方は、ぜひ一度聞いてみてください。

ケイティ・リンダー博士は、オレゴン州立大学eキャンパス研究ディレクターであり、ポッドキャス番組、「Research in Action」と「You’ve Got This」のパーソナリティを務めています。彼女は、@Katie_Linder@RIA_podcast、@YGT_podcastのアカウントで積極的にツイートしています。最近では、『The Blended Course Design Workbook: A Practical Guide』(Stylus Publishing)も出版されました。また、「Learn Like a Boss」というニュースレターを毎週発行しています。彼女の仕事と活動については、彼女のウェブサイトで詳しくご覧いただけます。

過去の記事では、私が研究者/ポッドキャスターであることで得られたメリットについてお話しました。

読者の方はお分かりのように、私は自分の仕事が大好きです。そこで、「You’ve Got This」というもう一つのポッドキャストも始めました。この番組は、インタビュー形式のポッドキャストではなく、リスナーが忙しい学業生活の合間に視聴できるよう、通常1回につき8~10分程度の単独番組となっています。この番組を始めて、まだ1年程しか経っていませんが、毎週のエピソードでは、出版契約の獲得、基調講演、学術的パイプラインの構築、影響力のある教育者になることなどについて取り上げています。iTunesやSoundCloudでもお聴きいただけます。

「You’ve Got This」と 「The Anatomy of a Book」は、誰でもポッドキャストを作れるということを示す良い例です。私はこの2つを、サポートチームなしで自宅のクローゼットから完全に自分ひとりで制作しています。録音と編集、番組メモの作成、SNS上での販売など、すべて自分ひとりで行っています(文字起こしは自分でやる時間がないため、外注しています)。

ポッドキャスティングに興味があり、自分もやってみたいという方のために、お勧めの始め方をいくつかご紹介します。

様々なポッドキャストを聴き、好きなものを見つける

どのような番組フォーマットが好きか、1回あたりどのぐらいの長さがいいか、どのようなテーマが面白いかなど、参考になりそうな面白いポッドキャストを見つけましょう。私のお気に入りの番組の1つは、「The Podcast Producers」です。

まだ番組が作られていないテーマを発掘する

研究と同様、新しいポッドキャストの制作は、リサーチギャップ(研究を行う余地が残されている課題)を見つけ、それを埋めることにほかなりません。定期的にエピソードを創り出している唯一の研究ポッドキャストは「Research in Action」だというメールを何通かいただいたことがあります。「You’ve Got This」は、高等教育に携わる関係者向けのポッドキャストがなかったので作りました。「The Anatomy of a Book」を始めたのは、本の執筆・出版プロセスについて聞きたいのに、学術的な文脈でそれを取り上げている人が見つからなかったので、自分で作ってしまいました。

時間を確保する

ポッドキャストの制作はかなり時間を要します。始める前に、定期的な投稿スケジュールをこなせるか確認しておきたいものです。

プラットフォームを選ぶ

プラットフォームによって、無料のもの(SoundCloudが良例です)や、少額の料金で利用できるものもあります(私はすべての番組をLibsynで制作しています)。iTunesに番組を投稿するのも無料です。また、ポッドキャストに関する情報を共有するための簡単なウェブサイトを構築するのもよいでしょう。「You’ve Got This」のためには、年間15ドル未満でドメインを購入し、無料のWordPressテーマを使ってウェブサイトのコンテンツを構成しました。以前、WordPressを使って他のウェブサイトを作ったことがあったので、週末だけで作成できました。「The Anatomy of a Book」は現在、私の本業サイトのサブドメインに収められています。

機材を揃える

私は職場にスタジオがあるのですが(大学に所属している方なら使えるかもしれません)、自宅のセットアップは、吸音材を貼ったクローゼットに、椅子と小さなテーブルとマイクを置いただけです。マイクは比較的安価で揃いますし、ポッドキャスティングを定期的に配信する予定なら、音質はかなり重要です。よく読まれているチュートリアルのPat Flynnの「How to Start a Podcast」など、ポッドキャスターに最適な機材について書かれたブログ記事もたくさんあります。私が使っている機材については、「You’ve Got This」エピソードについて書かれたショーノートに詳しく書いています。

– 録音する

コンテンツがなければポッドキャストは配信できないので、録音を始めましょう!私は、定期配信に遅れないように、数週間分のエピソードを事前に録音しています。

– 編集とポストプロダクション

私が職場で制作しているポッドキャストでは、ゲストの声をできるだけ聞きやすくするために、何度か編集を行います。Spliceを使って音声技術者と共同で音声編集を行うのです。

私が自主制作しているポッドキャストは、1つのエピソードをたいていワン・テイクで録っています。その後、GarageBandで編集します。編集といっても、各エピソードに同じイントロとアウトロを付けるだけです。GarageBandでの編集方法は、YouTubeのチュートリアルを見ながら1時間ほどで独学したので、比較的すぐ習得できると思います。

私が主催するすべてのポッドキャストでは、アクセシビリティ向上のため文字起こししたデータを提供しています。上述のとおり文字起こしは外注しています(Transcript Divasを使用しています)。また、各エピソードのショーノート*を作成することもおすすめします。ショーノートを提供しないポッドキャストも確かにありますが、各エピソードで言及される元ネタについて知りたいと思うリスナーにとって素晴らしいリソースだと思います。

資金があれば、音声の編集、ショーノートの作成、その他ポッドキャスト制作に関連するあらゆる作業を手伝ってくれるポッドキャスト・サービス業者もたくさんあります。

(ショーノート*:番組内で言及された内容の追加情報やゲストの経歴など関連コンテンツを提供する投稿)

投稿・共有する

音源の準備ができたら、プラットフォームにアップロードします。具体的な方法については、オンラインチュートリアルがたくさんありますので、それらをチェックするか、使用するプラットフォームが提供する指示を参考にしましょう。オーディオをアップしたら、SNSに投稿したり、友人や同僚にメールを送ったりして、みんなに知ってもらいましょう。

ポッドキャスティングは、特定のトピックに対する情熱を共有し、同じ興味を持つ人たちのコミュニティとつながり、自分の専門的な能力開発に役立つ新しいスキルを学ぶことができる素晴らしい手段です。私自身は、研究に関してたくさんの新しいことを学んだだけでなく、マーケティング、SNS、SNS用の画像作成(これにはCanvaをお勧めします)、音声編集、音質、アクセシビリティなど、さらに多くのことを学びました。

ポッドキャスティングは楽しいですよ!ぜひ挑戦してみてください。

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ケイティ、ありがとう!研究関連のポッドキャスト番組を配信されている方は、ぜひコメントでお聞かせください。

2022年更新

ケイティのアドバイスを読んだ私は友人のジェイソン・ダウンズ(Jason Downs)とポッドキャストを立ち上げ、数年間続けています。On The Regのホームページで聴取・サブスクリションしていただけます。

ご自分のポッドキャストの立ち上げを検討されていて、プラットフォームを探している方には、 riverside.fmをお勧めします。ジェイソンと私は別々の都市に住んでいて、音源の共有と編集にriversideを使っています。いろんな音質の問題を回避するのに最適なプラットフォームです。「ONTHEREG」とコードを入力すると15%割引で購入できます。

原文はこちら

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