Brexitが招く共同研究の危機

Brexitといえば、Britain(イギリス)とexit(脱退)の合成語で、イギリスがEUから脱退することです。2016年6月23日に行われた離脱の是非を問う国民投票で、僅差でEU離脱が上回って以来、世界中がイギリスの動向を見守っています。このBrexitの影響は、国際政治だけでなく経済など多方面に広がっていますが、学術界も例外ではありません。欧州連合(EU)中の大学が不安に晒されています。 ■  EUの学術支援とイギリスの関わり方…

オープンアクセス推進に欧州も参戦

2017年3月、欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会(European Commission; EC)が、ある発表を行いました。内容は、オープンアクセス出版について。誰でも最新の研究成果を無料で見られるようにする、という世界で話題の出版プラットフォームを、ECも設立しようかというのです。学術出版界に大きな影響を与え得るこのオープンアクセスとは何なのか、その可能性にあらためて迫ります。 ■ 欧州委員会がオープンアクセスへの参入を検討…

論文英語の組み立て-自動詞と他動詞

I. 概要 一般的な言語学現象として、 動詞 は、表す動作や状態において異なった立場にある複数の参加者が存在するかどうかによって二種類に分かれます 。動作・状態の主体である参加者のみ存在する場合に使われる動詞は「自動詞」(intransitive verb)と言い、対象(客体)も存在する場合は「他動詞」(transitive verb)と言います 。他動詞はさらに「単一他動詞」(monotransitive verb)と「二重他動詞」(ditransitive…

海賊版論文公開サイトは学術出版モデルを変えるのか

大手学術出版社のエルゼビアが2017年6月、ある裁判に勝訴しました。相手は、Sci-Hub(サイハブ)およびLibGen(ライブラリー・ジェネシス)という、出版社のサイト以外から学術論文を無料で閲覧できる、いわゆる「海賊版論文公開サイト」。彼らが著作権を侵害しているとして、学術出版会の大手が統制に動き始めたのでした。学術出版の仕組みをも揺るがしかねないこの問題に密着します。 ■ 学術出版はオイシイ商売か…

米国化学会、海賊版論文サイト「サイハブ」に勝訴

本連載でもお伝えしてきたように、「サイハブ(Sci-hub)」というウェブサイトでは、出版社のサイトでは有料でしか入手できない論文のPDFファイルを、誰でも簡単に無料でダウンロードすることができます。ジャーナル(学術雑誌)の購読料が高騰し、論文を手に入れにくくなったことに業を煮やした研究者アレクサンドラ・エルバキャンが2011年に開設したものです。多くの研究者に重宝されてきた反面、学術出版社などからは訴訟を起こされるなどされてきました。…

間違いやすい用語や表現 - 不要な「of」 

「の」の誤訳が原因となっている「of」の誤用を度々見かけます。その中でも特によく見られるものとして、以下に例示する誤用があります。 (1) Here, the condition of v > 0 is important. (1’) Here, the condition v > 0 is important. ここで「condition」と「v >…

間違いやすい用語や表現 -the one 

代名詞「one」は日本人学者の論文で過度に使用されると思われます。熟語「the one」における誤用は特によく見受けられます。 「the one」が表現として誤っているとは言えませんが、学術論では一般に(「one」が代名詞となっている)「the one」よりは「that」の方が適切です。私が今まで読んできた学術論文では、ほぼ例外なく「the one」(「the ones」)はそのまま「that」(「those」)に置き換えるべきものでした。 以下は典型的です。 (1)…
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