学会参加を最大限に活用するために心がけること

学生や研究者にとって、学会への参加で得られることはたくさんあります。研究成果を相互に提供し、新しい情報を得るとともに、同じ分野の研究者と知り合い、ネットワークを構築することができます。こうした好機を活かすためには、どの学会に、いつ参加するか、事前調査をすることが重要です。学会の内容と自分の研究との接点や、自分の研究に役立ちそうな発表者は誰で、どんな発表をするのかなどを調べておきましょう。

学会参加は役に立つ

学会における発表や講演が研究において重要なことは当然ですが、それ以外にも役立つことはたくさんあり、それらを十分に活用するには、次のことを念頭に置いておくと良いでしょう。

知見を広げる機会
学会では広範なテーマのパネル・ディスカッションや発表を見聞きすることができます。自分の研究テーマと異なる分野のパネルやプレゼンテーションに接することは、自分の知識を広げる良い機会です。発表を熱心に聴き、研究者と知り合うことは、自分の研究に関して新たなアイデアを得ることにつながります。また、学術出版社も学会に参加して出版物の紹介をしたりするので、自分の研究に関わる新しい文献の情報を得やりするのにも役立つでしょう。
人脈づくり
学会は、該当分野の先端的な研究を牽引している研究者などに会い、話を交わすチャンスでもあります。こうした機会は、学生にとって学びの機会であるとともに、人脈を広げる好機です。このチャンスを活用するには、事前に発表者について下調べをすることが重要です。研究発表を聴くだけに留まらず、発表を行った研究者と言葉を交わすことで、後で連絡をとれるような関係を築けるかもしれません。
発表スキルの向上
学会では、他の人の発表を聴くために多くの時間を割くことになりますが、それだけでなく自分で発表(プレゼン)することも重要です。自分の研究について発表することで、プレゼン・スキルを高めることができます。プレゼン・スキルは、学生としても、研究者として研究活動を続けるとしても大変に役立つでしょう。人の前で発表することにひるむ気持ちを克服して、発表の準備にとりかかってください。

学会参加を最大限活用するために

学会に参加するチャンスを最大限活用するために、次のことを心がけてください。

目的を明確にし、スケジュールを組む
その学会で何を得たいかの目的を明確にすることが大切です。会いたい人、聴きたい発表、参加したいワークショップなど、学会ごとのプログラムを把握し、その学会に参加するためのスケジュールを立てることが必要です。ただ聴きに行くのではなく、自分が発表するとなれば、申込みから発表準備まで含めた綿密なスケジュールを作る必要があります。いずれにせよ、学会参加の目的の優先順位を明確にすることで、自分にとって一番大事な学会に確実に参加することができるようにします。
質問をする
主体的に参加するようにしましょう。そのためには、質問することです。発表者は多くの場合、プレゼンテーションの最後に質疑の時間をとっています。恥ずかしがらずに、一歩踏み出してください。質問することで、自分が熱心な研究者であることが伝わり、また発表者の知己を得たいと考えていることを示すことができるでしょう。質問する場合には、自分の名前と所属をきちんと伝えことが大切です。そうすることで、発表者や聴衆に研究者としての自分を知ってもらう機会となるでしょう。
交流イベントに参加する
交流イベントは他の学生や研究者と知り合うチャンスです。夕食会や観光、屋外活動などさまざまな企画があるでしょう。それらに参加することは、リラックスした雰囲気のなかで人脈を広げるチャンスとなるでしょう。

 

これらは国内外問わず、とのような学会でも役立つものです。ぜひ取り入れてみてください。とはいえ、英語で行われる会議は大抵の日本人には敷居が高いものです。発表後の質疑応答で質問をしたり、交流イベントで積極的に話しかけて人脈を作ったりするのは、とりわけ難しいのが実情でしょう。多くの聴衆の前で、壇上の発表者に英語で質問することは、英語が相当堪能な人にとっても難しいことです。英語に今一つ自信がなければなおさらでしょう。そこで、発表者が壇を下りた後に、会場や廊下で個人的に質問するという手もあります。発表者に時間がなければ仕方ありませんが、大抵は数分なら親切に対応してくれるでしょう。そこで、連絡先を交換することができる場合もあります。また、発表資料や会議のプロシーディング(講演要旨集)の中に、発表者のメールアドレスが掲載されていることも多いでしょう。口頭で会話するのに自信がない場合は、学会終了後、時間を置かずにメールで質問してみることです。発表者の多くは、同じ領域の研究者から寄せられる質問には、気軽に答えてくれるでしょう。

交流イベントで日本語の通じない研究者と知り合いになることにも、多くの日本人が苦手意識をもっているようです。その苦手意識を乗り越えて知り合いになるためには、ある程度の努力が必要でしょう。まず、日本人同士で固まらないこと。仲間内だけで話していると、初対面の人と話す機会が狭まってしまいます。一方、一人でいると自分から他の参加者に声をかけるチャンスが増え、また声をかけられる可能性も高まります。話し始めることができたら、次は会話を発展させることです。研究者同士であれば、当然研究に関することが話題になるでしょうが、それだけでは話が煮詰まってしまいがちです。研究に関することだけでなく、広い事柄について話題を提供できると、話が発展するでしょう。そのためには、普段から関心領域を広く持ち、相手が関心を持ちそうな話題を仕込んでおくことも必要です。

せっかく学会に参加するのであれば、発表を聴いて見聞を広げるだけでなく、最大限活用するようにしてみてください。


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