variety

名詞「variety」は日本人の学者によって、論文執筆の際にたびたび誤用される語です。この名詞には3種類の用法があります。ここではそれらの用法の特徴を説明します。
I. 第1用法
意味:いろいろ、異なるいくつか、異なる種類。
役割:複数の異なるものを集合として指すこと。

(1) We used a variety of methods to derive these results.

(2) A variety of interesting results follow immediately from this theorem.

ここで最も注目すべき点は、「variety」が複数のものを指すことによって複数形名詞として扱われるということです。よって(2)のように、「variety」が主語である場合はその動詞も複数形となります。


II. 第2用法
意味:多様性。
役割:ひとつ、または複数のものが示す様子を指すこと。

(3) The most important point to note here is the great variety of adaptive behavior exhibited within the Microhexura genus.

(4) In this particular case, variety is not necessarily desirable.

この第2用法で「variety」は複数の異なるもの自体ではなく、むしろ複数のものが全体として示す「変化」を意味します。その変化(つまり、多様性)はひとつのものなので、この用法において「variety」は単数形名詞です。また例文(4)が示すように、第2用法では「variety」が不可算名詞と見なされる場合が多くあります。

III. 第3用法
意味:種類。
役割:複数のタイプの中のひとつを指すこと。

(5) This variety of chaotic behavior is often seen in strongly perturbed gravitational orbits.

(6) We investigate a variety of mineral deposit usually found only in the presence of large amounts of water.

この用法では「variety」は、単数形かつ可算名詞となります。


Dr. Paquette

グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

X

今すぐメールニュースに登録して無制限のアクセスを

ユレイタス学術英語アカデミーのコンテンツに無制限でアクセスできます。

* ご入力いただくメールアドレスは個人情報保護方針に則り厳重に取り扱い、お客様の同意がない限り第三者に開示いたしません。