日本人がよくする英語の間違いトップ20 (3)

日本人独特の英語の間違いを考えるシリーズの第3回は、動詞を中心に見ていきたいと思います。動詞は、論文の語調を決めるといわれ、アメリカ人でも論文の書き方を習うときに苦労するものです。ここでは日本人がよくする動詞の間違いについて、その対応策を考えていきます。
1. 時制の不正確さ
論文を書いている「今」という視点からみた過去と未来。そして、説明している「実験」から見た過去と未来。日本人が書く論文の時制には、これらの視点がフラフラと変わってしまうために起こる間違いがよく見られます。たとえば、Introduction(はじめに)で、すでに知られていることを書くときには現在形を、その問題に対して行われてきた研究について書くときには現在完了形を、自分がこの論文で行うことについて書くときには現在形を使うのが普通です。こうしたことは、英語を母国語とする人に英文校正してもらえばすぐに直ることですので、時間を惜しまず、必ず見てもらいましょう。
2. be動詞の誤用
「AはBである」の直訳なのでしょうか、下のようなbe動詞の誤用が多く見られます。日本語からの直訳にならないように気をつけ、最後に、be動詞を使っている文が、それを使わなくても文として成り立つかどうかを確認してください。
誤: Oxidation is rapid to occur.
正: Oxidation occurs rapidly. (Orr & Yamazaki 2004:28)
3. “can” “may” “might” “must”など助動詞の乱用
語調を強めるために使われる“can”や“may”などの助動詞のそれぞれの意味は、皆さんもよくご存知かと思いますが、実際に使うのは案外と難しいものです。とくに日本人の場合、下の例のような“must”の誤用のほか、“could”の乱用が目立ちます。先ほども述べましたが、動詞は論文の語調を決める大切な部分です。不必要な助動詞の使用は避けてください。
誤: Understanding these process must be important for…
正: Understanding these process is important for…
(Orr & Yamazaki 2004:27)
4. 他動詞における目的語の欠如
他動詞を使う文章には、“We implemented the plan”のように必ず目的語となる名詞が必要となりますが、日本人には、文脈からわかる場合に目的語を省略する傾向があります。残念ながら、「文脈から察する」のは日本人の十八番ではありますが、目的語のない他動詞は文法的に間違っているだけでなく、他国の読者には理解してもらえないことが多々あります。必ず明記するようにしてください。
5. 受動態の乱用
日本人が英語の論文を書き始めて最初に習うのが、“I”を使わないことと受動態を使うことです。そのためか、少し英語の論文を書き慣れてくると、逆に、下の例のような受動態の乱用が目につきます。この間違いが増えてきたら、「私も英語で論文を書くのに慣れてきたな」と自分を褒めてあげるとともに、最後に受動態を使っている文章すべてについて、受動態を使うことが適切かどうか、チェックを怠らないようにしてください。
誤: No carbonization was occurred.
正: No carbonization occurred. / No carbonization was observed.
(Orr & Yamazaki 2004:30-31)
詳細は、専門誌『プロフェッショナル・コミュニケーション・カンファレンス2004(Professional Communication Conference, 2004)』に掲載された論文「日本人著者が書いた英語論文でしばしば見つかる20の問題(Twenty problems frequently found in English research papers authored by Japanese researchers)」(Orr & Yamazaki 2004)をご覧ください。

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