such thatとso that

「such that」と「so that」はよく混同されます。ここでそれぞれの表現の正しい用法を説明します。

「so that」は、副詞として「for that purpose」や「in order that」のように意図を示す場合と、「with the consequence that」や「and therefore」のように因果関係を示す場合があります。それぞれの例を見てみましょう。

(1) I take my children on many international trips so that they will appreciate other cultures. [意図]
(2) Snow continued to fall for many days, so that eventually all of the mountain roads were impassable. [因果関係]

(1)と(2)はいずれも「A so that B」という構造を持ちますが、「so that」によって示されるAとBとの関係については著しい差があります。(1)は、話し手の意図を示し、「Bを目標にしてAを行う」というような意味になります。対照的に、(2)では何の意図も示されず、BがAの当然な結果として起きるという因果関係だけが示されます。

「such that」は、副詞として「in such a manner that」、そして形容詞として「of a type that」や「with the property that」のような意味を表します。これらの用法を以下で例示します。

(3) You should write your novel such that it evokes strong emotion. [副詞]
(4) Their disagreement is such that discussion is not even possible. [形容詞]

(3)では、「such that it evokes strong emotion」は動詞「write」を修飾し、小説をどのように書くべきかを表し、一方、(4)では、「such that discussion is not even possible」は名詞「disagreement」を修飾し、意見の相違がいかに深刻かを示しています。
最後に、以下の用例を比べてみましょう。

(5) You should paint this sign such that it is highly visible.
(6) You should paint this sign with bright colors, so that it is highly visible.

これらの文では「such that」と「so that」を互いに置き換えることはできません。(5)で「such that」を「so that」に変えると「看板にどのようなペンキをどのように塗るとしても看板が目立つ」といった相当に奇妙な意味が示されます。一方、(6)で逆の変更を行うと単に意味を成さない文になってしまいます。

日本人が書く英語論文には、(5)と(6)に例示されるような用法において「so that」と「such that」が誤って用いられていることがしばしば見受けられます。


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Dr. Paquette

グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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