第6回 スライドはシンプル・パワフルに

学術 研究の発表会場は暗い場合が多いです。細かい文字を見れば眠たくなるのは誰しもが経験済みのことです。それでも詰め込みスライドが多いのは、スライドのビジュアル効果を過小評価しているせいかもしれません。明快なスライドは不慣れな英語を強力にカバーしますので、力を入れて作成しましょう!

    1. 紙の上でコマ割りを

発表のストーリーが決まったら、それに合わせたスライド作成の計画を立てましょう。まだPowerPointは開きません。ノートなど紙の上でコマ割りをしましょう。驚くべきことに、プレゼンテーションの達人と言われる人々は共通してこの作業を行っています。ストーリーが転換するたびにアウトラインのスライドを出して現在地点を示すなどの工夫も、コマ割りをしながら綿密に計画します。1枚のスライドに入れる情報はデータを1つのみ、あるいは最小限にとどめます。スライドは1分あたり1枚が目安と言われますが、それにこだわる必要はありません。多少枚数を増やしてでも各スライドを簡潔するほうが効果的です。

    1. 削ぎ落とし、補足する

いよいよPowerPointやKeynoteを用いてスライド作成です。全体を通して「一目瞭然」のデザインを目指しましょう。そのためには、作成した図表をただペーストするだけでは不十分です。凡例を大きくする、重要な部分を強調する、言及しない部分は割愛するなど、丁寧に作り込みます。文章の箇条書きは最低限に絞り込みます。アニメーションは、ストーリー展開に有効な場合のみ厳選して使用しましょう。また、先に提案したような印象的なオープニングスライドは、楽しみながら作成しましょう。

    1. カラーユニバーサルデザイン(CUD)の視点を

一人でも多くの人に研究成果を伝えるために、スライドの色使いに配慮しましょう。人種により異なりますが、男性の十数人〜20人に1人、女性の250人〜500人に1人が、その他の人々とは異なる色覚を持っています。色で区別したはずの情報や、強調したはずの情報が一部の人々には伝わらない場合があるのです。真にグローバルな研究発表を目指すために、CUDにも配慮したプレゼンテーションを実践しましょう。日本の科学者が中心になって設立されたカラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)のウェブサイトを是非参照ください。CUDについては今後、本アカデミーでも特集予定です。


キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri)
日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient Camper(S.S.Camper)]を開発中。この度、国際住環境学会(“架空”)において同住宅の自然災害時における有用性について口頭発表することに・・。口演タイトルは、“Energy self-sufficient, infrastructure-free mobile house called Self-Sufficient Camper (S.S.Camper) provides both remote and on-site sheltering at times of natural disaster.”

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