性別差別的な言葉づかい

社会言語学的現象のひとつとして、英語において、かつては標準的ではあっても現在は性差別的と思われる言葉づかいが多く存在します。たとえば「人」、「人間」、「人類」のいずれを意味する場合でも「man」を用いたり、性別が特定されていない一般的な「人」を指すうえで男性三人称代名詞の「he」、「him」、「his」を用いたりすることなどが代表的です。以下に、そのような言葉づかいの正誤例を示します。

[誤] Man is a creature of habit.

[正] Humans are creatures of habit.

[誤] When a scientist makes a surprising discovery, the first thing he should do is to check his work.

[正] When a scientist makes a surprising discovery, the first thing they should do is to check their work.

2番目の例で示されているように、複数形三人称の代名詞である「they」、「them」、「their」には単数的な用法もあり、この用法は昔から一般的に広く用いられています*。


*Dictionary.comでの「they」の項目(http://dictionary.reference.com/browse/they?s=t)における「Usage note」をご参照ください。
以下に、性差別的表現と見なされうる語句と、その代替表現として好ましい語句を挙げます。
[誤] mankind
[正] humanity、humankind
[誤] stewardess、steward
[正] flight attendant
[誤] fireman
[正] firefighter
[誤] policeman、policewoman
[正] police officer
[誤] housewife
[正] homemaker
[誤] manmade
[正] artificial、synthetic、manufactured
[誤] manpower
[正] workers、workforce、human resources、human capital
[誤] chairman
[正] chairperson
[誤] actress、actor
[正] actor
より詳しい解説については、http://www.writing.utoronto.ca/advice/style-and-editing/unbiased-language、およびその参照文献をご参照ください。


Dr. Paquette

グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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