in spite ofとdespite

前置詞の働きをする「in spite of」と「despite*」はほぼ同じ意味を持ち、どちらを使っても文全体の趣旨が変わらないケースはよく見られます。しかし両者には微妙な違いもありますので、意味のうえでの正確性が必要とされる場合はきちんと使い分けるべきです。
「in spite of」と「despite」は両方とも第一義が日本語の「にも関わらず」に相当します。しかし「in spite of」の方は語気が若干強く、「despite」が「…と関係なく」という消極的なニュアンスを持つのに対して「…に反して」という積極的なニュアンスを含みます。この違いは以下のように例示することができます。

(1) Despite the risk, I would like to proceed with the plan.

(2) In spite of his parents’ warning, the child continued to play with the toy.

なお、「despite」の用法に関して、もうひとつ注意していただきたいことがあります。「despite」を用いる際、「in spite of」と混同してしまい「despite of」と表記してしまうケースがたまに見うけられます。これは文法的に誤りです。


*despiteには名詞としての用法もありますが、その用法はまれです。
関連した解説についてはグレン・パケット:『科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現』(京都大学学術出版会,2004)の第45、第66章をご参照下さい。


Dr. Paquette

グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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