クラリベイト・アナリティクス高被引用論文著者2019

学術誌(ジャーナル)評価分析データベースJournal Citation Reports(JCR)で有名なクラリベイト・アナリティクスですが、毎年、高被引用論文著者や引用栄誉賞の発表も行っています。この引用栄誉賞に選ばれた研究者がノーベル賞を受賞することも多いようです(2019年までに50名の引用栄誉賞受賞者がノーベル賞を受賞)。

2019年11月に発表されたHighly Cited Researchers 2019(高被引用論文著者2019年版)は、同年において影響力の高かった研究者をリストしています。これは科学研究の分野において過去10年以上にわたって出版された論文の引用データから、影響力の高い研究者を分析してリスト化したもので、この名誉あるリストに名前が掲載されるには、引用される回数の高い論文を多数出版し、それらが論文データベースWeb of Scienceに収録された全論文のうち、特定出版年および特定分野において引用された回数が上位1%にランクされている必要があります。2019年は、約60か国から6261名の研究者が選出されました。このうち、3571名が特定分野での功績を、2492名が複数分野を合算(クロスフィールド)した業績を評価されての選出となっています。分野を横断して評価されるようになったのは2018年からですが、複数の分野に影響を与えた論文がわかりやすくなっています。

2019年版の傾向

高被引用論文著者2019年版には、同年にノーベル賞を受賞した3名を含め、計23名のノーベル賞受賞者が含まれています。また、世界7か国19名の研究者が、研究成果が非常に多くの回数(2000回以上)引用された研究者に送られるCitation Laureates 2019(引用栄誉賞)に選出されました。2000回以上引用されるような論文は、収録された論文全体の0.01%にすぎないので、「ノーベル賞クラス」と見なされる研究者のみが引用栄誉賞に選ばれていると言えます。選出された研究者の論文は頻繁に引用されていることが明らかで、該当分野における貢献は極めて大きく、社会にイノベーションをもたらすものと言えるでしょう。

高被引用論文著者は世界60か国に分散していますが、約85%の研究者は上位10か国に集中しています。高被引用論文著者を最も多く輩出した国は米国で2737名。この人数は、今年選出された全著者の44%を占めていました。最も多く輩出した大学は、ハーバード大学で人数は203名に及んでいます。一方、中国から選出される研究者の数は、2018年の482名から636名と引き続き増えていることが示されていました。この結果、国別の人数では中国が英国(2019年で516名)を抜いて2位に浮上。英国同様、ドイツやオランダの高被引用論文著者数が2018年よりも減少しているのとは対照的です。中国と並んで著しい伸びを示しているのはオーストラリアで、2014年の80名から2019年の271名と6年間に3倍以上の増加となり、5位に入っています。オーストラリアの研究機関が、世界各地から高被引用論文著者を採用したことに加え、自国内の研究者育成に力を入れたことが功を奏したようです。高被引用論文著者の72%は上位5か国(米国、中国、英国、ドイツ、オーストラリア)の大学・研究機関に所属しており、優秀な人材が特定の国に集中している傾向は続いています。このような世界動向の中、日本からの選出は98名で、昨年の13位から11位に順位を上げていました。輩出が多い分野は、植物・動物学、免疫学、物理学、化学。輩出数の多い組織としては東京大学などの39の大学や研究機関が含まれています。

研究者の活躍に期待

今後も中国の躍進は続くと見られています。英国やドイツなどが現状の順位を維持しようとするのであれば、高被引用論文著者を増やすための新しい取り組みを模索する必要がありそうです。とはいえ、どの国で活躍するにせよ、高被引用論文著者に選出される研究者は、彼らの専門分野の学術的発展だけでなく、社会的なイノベーションや知識の創出にも貢献し、世界をより健康で、豊かに、かつ持続可能で安全なものにする助けとなっていると言えるでしょう。高被引用論文を見れば、世界の研究動向が見えるので、今後の発表も楽しみです。


参照

2019年11月19日 科学・社会科学分野における世界最高峰の研究者を選出した高被引用論文著者リスト2019年版発表(リンク
2019年09月25日 クラリベイト・アナリティクス、2019年の引用栄誉賞を発表(リンク

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