研究室を選ぶ際の5大基準 (2)

研究室を選ぶ際の5大基準(1)に続き、どのようにして研究室を選べばいいのか考えてみたいと思います。
3. 教授に指導力があるか?
有名な教授だからといって人に教えることが上手だとは限りません。あなたが一人前に研究者として成長するために何よりも大切なのは、教授の知名度ではなく指導力です。もちろん自分の研究もできて、学生を育てるのも大好きだという教授であることに越したことはありませんが、そのような教授はとても稀な存在です。教授の知名度に惑わされず、数年という短い期間で、あなたを一人前の研究者にするだけの現場の知識や知恵や裏技を伝授し、同時に研究過程で一緒に悩んでくれる人を探しましょう。
この点に関しては、研究室の他の学生に会って、いつも教授への質問はどのようにしているのか(たとえば「週に1回のオフィス・アワーを待ってする」か、それとも「いつもメールでしている」かなど)、その返事は迅速に返ってくるのかを聞けば、案外と簡単に察することができます。
また、研究室を訪れたとき、写真があればよく観察してください。学生と一緒に写っている写真があれば、その教授が学生との時間を楽しんでいる可能性が高いといえるでしょう。また、生まれたばかりの三つ子の写真があれば、これからは子育てが忙しくて、なかなか学生の指導に時間を避けない可能性も考えられます。学生指導の上手な教授でも、教授の人生のタイミングと自分の研究室に所属するタイミングが最悪(?)となる可能性もあるのです。これは人間として避けられない事実です。教授の最終的なよし悪しを決定することではありません。ただ、自分がそのために悲哀を感じることがないよう、自己防衛は必要です。
4. 人間関係が円滑かどうか?
新しいことをいろいろと学んでくると研究がどんどん面白くなってきて、自分のアパートへ帰るのがうっとうしくなっていくものです。そのため、「研究室で過ごす時間が、ほかのどの場所で過ごしている時間の総合計より長い」という状況にもなりかねません。そうなると、研究室の教授や助教授や他の研究員は、同居人同然の存在となっていきます。そこで大切なのが、「同居人」との相性です。
「邪魔をされなければいい」と思われるかもしれませんが、毎日一緒に長時間過ごす人たちが、競争心丸出しで口も聞かないようでは息も詰まります。また、一緒に協力し合えるグループ意識があれば、「3人集まれば文殊の知恵」ともいうように、お互いの向上にも繋がります。同じ分野の人たちと交流することによって、自分の考えに挑戦されることにも慣れ、学会などへ出たときの質疑応答にもその体験を活かせるでしょう。
そのため研究室を選ぶときには、教授のオフィスへ行くだけでなく、他の学生にも紹介してもらって、自分との相性を確かめましょう。また、研究室を訪ねたときには、掲示板などを見て、何かイベントが企画されているか、一緒にお昼を食べている形跡があるかなどに注意してください。なかには「一緒に昼を食べたり、忘年会へ行ったりするのはちょっと苦手……」と思う人もいるかもしれません。しかしこれも一人前の研究者として他の研究者と上手に意見交換をし、ネットワークをつくる練習です。学生生活の課題の1つとして考え、自分の好みにかかわらず、できるだけコミュニケーションが盛んに行われている研究室を選ぶことをお勧めします。
5. 研究室の特徴は?
まったく研究に関係がないと思われるかもしれませんが、案外と研究の効率度に影響があるのが、研究室の特徴です。定期的な勉強会が行われているか、他の学部や研究室との交流が盛んかどうか、など研究室の活気は重要です。と同時に、図書館や食堂への距離、公共の交通機関の充実度なども重要なポイントとなります。研究室を訪れたときには、少し時間をつくって、研究室のまわりを散策してみるのもいいでしょう。
また、学生に対する教授陣の人数の多さを調べ、できるだけ教授陣の比率の大きい研究室を選ぶのも重要です。どんなに面倒見のいい教授でも、学生の数が多ければ1人ひとりに対しては十分な時間が取れませんから。
さて、今回は2回に分けて研究室の選び方を考えてみました。
これらの基準は、社会に出てからも、管理職になる前の段階で就職先や転属先を選ぶときにもいえることです。いろいろな条件や情報に圧迫されるような気になるかもしれませんが、そんなときには、この5項目からスタートして、自分により適した将来を目指して頑張ってください!

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