conceptとidea

名詞「concept」と「idea」はともにかなり似た意味を持つ語で互換性がある場合もありますが、学術的な面では同一の意味を持つ語として扱うことはできません。これらの語の間には主に3つの意味上の違いがあるためです。
1つ目は、「concept」の方が一般により抽象的な意味を持つ語として捉えられているという点です。そのため「concept」は科学や数学などといった抽象的な概念をよく扱う専門分野で頻繁に用いられます。
2つ目は、「concept」は厳密に記述できる対象を指す際により適切であるのに対し、「idea」は正確に記述できない概念やぼんやりした発想などを意味する対象を指す際によく使用されるという点です。
3つ目は、「idea」は語の持つ意味がかなり多く、「concept」にはない意味を豊富に持っているという点です。「concept」は通常、日本語で言う「概念」または「理解」に相当します。それぞれの用法を以下に示します。
(1) The concept of the infinitesimal limit played a key role in the development of calculus.
(2) Scientists at that time yet had no concept of how to treat experimental uncertainty.

上の文では「concept」を「idea」に置き換えても意味は通じますが、上述した違いにより、文全体は不自然になってしまいます。一方、「idea」の典型的な用法は以下のとおりです。


(3) The idea of treating the input and the output on the same footing is quite novel.
(4) In that paper, the authors develop an idea that was first discussed in Ref. [3].
(5) I had no idea that you were coming.
(6) His idea about how to proceed is quite unconventional.
(7) I once had the idea of becoming an artist.

(3)と(4)の文において「concept」という語を用いても間違いではありませんが、「idea」の方が意味的にしっくりときます。一方、(5)〜(7)の文において「concept」を用いることは明らかに不適切です。


Dr. Paquette

グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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