アブストラクト

アブストラクトは、読者に論文の概要を簡潔に伝えながら論文そのものの宣伝の役割も果たします。
良いアブストラクトは、著者がその研究について最も伝えたいことを明確にかつインパクト強く提示し、読者の関心を引きつけながら論文の本文を読む上でのガイドとなります。そのためには簡潔性と正確性、双方の要素が必要とされます。アブストラクトでは、余分な情報を省き論文の核心だけを残して、研究成果の重要性を率直に述べるべきです。
アブストラクトには、研究目的、研究の背景、研究方法、論文の結果、その結果の重要性という5つの基本要素の簡潔な説明のみが含まれるべきであり、より詳しい情報は、本文中で述べられるべきです。アブストラクトしか読まずに論文を評価する人も多く存在しますので、その短い文章だけから研究の最も大切な部分が容易に理解できるように執筆する必要があります。
分量の具体的な目安として、アブストラクトが論文全体の分量の1割までという基準が一般的ですが、ジャーナルによって分量の制限がある場合もありますので、原稿を投稿する前によく調べることが必要です。また、アブストラクトの最初の250~300語のみを閲覧可能にしているオンライン・データベースも存在しますので、ご注意ください。
最後にアブストラクトを作成するうえで留意すべき点を挙げます。ウェブ検索のことです。論文の研究分野においてキーワードと思われる単語が4、5個ほどアブストラクトに含まれると、その分野の関連論文としてウェブ上で検索されやすくなります。


Dr. Paquette

グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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