アブストラクトは語数制限より短かければよい?

論文には語数制限(日本語のジャーナルだったら字数制限)がないジャーナルでも、アブストラクト(要約、抄録)には語数制限があるのが普通です。たとえば、オープンアクセス・ジャーナル大手の「BioMedCentral」では、「350単語」以内で書くことを推奨しています。論文の形式としてしばしば使われる「APA方式」では、150〜250語とされています。日本語のジャーナルでは、300字を目安にしているところが多いようです。英語ジャーナルでも日本語ジャーナルでも、それぞれの投稿規定に書かれていますので、必ず参照してください。
この語数制限を1語でも超えると、その場で却下されますので注意してください。では、アブストラクトの長さは語数制限より短ければよいのでしょうか?
あまり筋が通っているとはいえませんが、一般的にアブストラクトが短いと、編集部では「主張する内容が少ない論文」だと判断します。つまり、研究論文のアブストラクトの品質は「制限された語数では書き表すことができないほどのすばらしい研究内容を、語数制限内ぎりぎりでまとめる」ところにあるというわけです。そのため英語ネイティブでさえ、論文の広告塔ともいえるアブストラクトを書くときには、四苦八苦して限りなく語数制限に近い文字数で仕上げようと努力します。


そこで今回は、ひと通り書き上げたアブストラクトの推敲の方法を考えると同時に、語数調整の方法を考えてみたいと思います。
1. まずは略語が含まれていないかを確認する
ようやく語数制限内に収まったと思ったら、略語があった……というのは二度手間で時間の無駄です。語数を気にする前に、まず略語が使われていないか確認しましょう。同じ略語を何度も使う場合は、最初に正式名を記載し、以後は略語を使うことを断わりましょう。
2. ほかの文献の紹介になっていないか?
どんなに密接な関係があったとしても、アブストラクト内でほかの論文の紹介を延々とするのは御法度です。語数を調整するためとしても、ほかの論文を参照するときには長々と書かずに、1文で要点をまとめるようにしましょう。
3. 研究方法の説明が詳しすぎないか?
次に避けなければならないのは、研究方法を必要以上に詳しく説明することです。論旨の信憑性を高めるために必要最低限な情報のみを書きましょう。どんなに文字数が足りなくても、研究方法の説明は簡潔に終わらせてください。
4. 全体の流れと論理性を確認
ここでもう一度、全体の流れがスムーズか、論理に一貫性があるかを確認してください。この時点では、語数制限を気にしながらも、 アブストラクト 全体の出来を重視しましょう。
5. 最後に語数を調整
全体の形が整ったところで、最後に語数の調整に入ります。まだ語数が多すぎるようであれば、「look up」を「refer」に替えるなど、短い表現にできる箇所がないか探してください。逆に語数が少ない場合には、同様の方法を使って同じ意味で長くできる表現がないかを考えてみましょう。また、先行研究を参照する方法を下の例のように工夫することで、語数を調整することもできます。
長: 「In his paper, Jones (2009) says…」
短: 「……. (Jones 2009).」

X

今すぐメールニュースに登録して無制限のアクセスを

ユレイタス学術英語アカデミーのコンテンツに無制限でアクセスできます。

* ご入力いただくメールアドレスは個人情報保護方針に則り厳重に取り扱い、お客様の同意がない限り第三者に開示いたしません。