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近世後期における旗本救済策の効果とその役割 ~旗本・土屋氏の財政状況から見た~
はじめに
旗本・御家人などの徳川幕臣団の財政窮乏は、江戸初期から幕末に至るまで一貫して見られる現象であることは、多くの研究者達によって早くから指摘されている。
また幕府が幕府権力の担い手である旗本・御家人の家計破綻によって支配体制が揺らぐことを恐れ、倹約令や棄捐令などの様々な財政救済法令を江戸初期から発布し、幕臣団の財政援助に努めてきたことも周知の事実である。旗本財政と法令の関係性について考えてみた時、救済法令は旗本の家計面にどのように関わり、どのような影響を与えたのか。そして、果たして旗本の財政窮乏を救うというその目的を果たせていたのか、という疑問が浮かぶ。
それを解明するために、本稿では、考察対象として下総国葛飾郡大谷口村を中心に千百五十石余の知行地を有していた旗本・土屋氏を取り上げ、法令が土屋氏の知行所経営にどのように関わり、土屋氏の財政面にどのような影響や動きを与える結果となったのかを考察していく。
考察方法は、大谷口村の名主であり、知行所七ヶ村の取締役であった大熊家が所蔵する証文類や家政整理史料を読み解き、土屋氏の財政上の動向を追っていく。
特に、天保十四年(1843)十二月に発布された、いわゆる天保の無利息年賦返済令の前後に借金元と交わした証文類が豊富に残されているため、天保の無利息年賦返済令が土屋氏財政に及ぼした影響や効果を中心に考察していきたい。
このように一人の旗本の財政の動きを詳しく追っていくことで、法令の存在意義や、そもそも何故幕臣団の財政窮乏は発生したのかという疑問に対する答えも見出していきたい。
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